私のことはお気になさらず

みおな

文字の大きさ
37 / 83

甘さとお仕置き?

しおりを挟む
「お待たせいたしました」

「かまわない」

 ヴィル様はそう言うと、ご自分の左隣をポンポンと叩かれた。

 ここに座れということ、ね?

 私が隣に座ると、ヴィル様がグラスを差し出して来た。

 綺麗なピンク色。何かしら?

「軽めの果実酒だ。使用人たちからの祝いだ。苦手なら果実水にするか?」

「そうなのですね。飲んでみます」

 成人してからすぐにヴィル様との婚姻だったから、お酒を飲んだことはないけど、軽いなら大丈夫かしら?

 それに使用人たちがくれたのなら、少しくらい無理してでも飲みたいわ。

「・・・甘くて美味しいです」

「軽いがその一杯だけにしておけ」

「はい。ヴィル様は何を飲まれていますの?」

「グリフォン産のワインだ。香りはいいが少し辛めだから、口に合わないだろう」

 私の飲んだ果実酒は、甘いルルルという果物の味がした。

 果汁多めで、甘くてトロッとしていて、美味しい。

 傷とかに弱い果物だけど、ルルルの季節が来ると毎年お父様が買って来ていた。

 お母様の好物なのよね。

 美味しくて、空になったグラスを手放せないでいると、横から大きな手が伸びて来て私からグラスを取り上げた。

「弱いわけではなさそうだが、酔われては困る」

「困・・・?ひゃっ!」

 いきなり横抱きに抱き上げられて、変な声が出た。

 そのまま、ベッドへと下ろされる。

「ヴィル様」

「辛かったら、言え。無理はさせない・・・出来る限り」

「はい」

 ちょっと最後の、出来る限りが気になるけど、閨教育は一応受けてはいても詳しくは分からないし。

 お母様も、ヴィル様にお任せしておけば良いとおっしゃってたし。

 未経験の私が、どうこう出来るわけもないから、ヴィル様にお任せするしかないわ。

 ヴィル様の大きな手が私の頬を撫でて、ゆっくりと覆いかぶさって来た。

 額に頬と口付けられて、軽く唇に重なる。

 何度も何度も口付けられ、やがてそれが深くなっていくにつれて、私はヴィル様との口付けに意識を奪われていた。

 気づいたら夜着のリボンが解かれて、胸やお腹がヴィル様の目に晒されている。

 は、恥ずかしい。

 ヴィル様なら、もっとスタイルのいい方の裸も見たことあるのじゃないかしら?

 婚約者の方がアレだったから婚約者は作らずにいたけど、ご経験はお有りよね?

「他ごとを考える余裕があるなら、大丈夫だな?」

「はい?」

 不穏なことを口にされたヴィル様は、そのままご自身のガウンも脱ぎ、私の下着も取ってしまわれた。

 大丈夫ってどういうこと?

 そう尋ねる隙も与えてもらえなかった。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

お望み通り、別れて差し上げます!

珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」 本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

【完結】もう結構ですわ!

綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
 どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。  愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!  ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/11/29……完結 2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位 2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位 2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位 2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位 2024/09/11……連載開始

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!

みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。 幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、 いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。 そして――年末の舞踏会の夜。 「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」 エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、 王国の均衡は揺らぎ始める。 誇りを捨てず、誠実を貫く娘。 政の闇に挑む父。 陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。 そして――再び立ち上がる若き王女。 ――沈黙は逃げではなく、力の証。 公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。 ――荘厳で静謐な政略ロマンス。 (本作品は小説家になろうにも掲載中です)

お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです

・めぐめぐ・
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。 さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。 しかしナディアは全く気にしていなかった。 何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから―― 偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。 ※頭からっぽで ※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。 ※夫婦仲は良いです ※私がイメージするサバ女子です(笑) ※第18回恋愛小説大賞で奨励賞頂きました! 応援いただいた皆さま、お読みいただいた皆さま、ありがとうございました♪

[完結中編]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜

コマメコノカ@女性向け・児童文学・絵本
恋愛
 王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。 そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

処理中です...