私のことはお気になさらず

みおな

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溺愛と問題

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 突撃してきたリリアと王太子殿下を見送った後、執務室にいらっしゃるヴィル様の元を訪れた。

「帰られたのか」

「はい。どうやら、領地に行っていたことで顔が見れなくて我慢が出来なかったようです。お騒がせいたしました」

「問題ない。まだお若いからいいというわけではないが、殿下にも息抜きは必要だろう」

 ヴィル様はそうおっしゃってくださったけど、うん、エーリッヒ王太子殿下の息抜きというよりリリアの暴走だと思うわ。

 エーリッヒ王太子殿下は、リリアさえいれば満足だと思う。

 まぁそれでも、我が家でのお茶を美味しいと楽しみにしてくださっているみたいだけど。

「リリアは、姉離れ出来てないと両親も兄も言うのですけど、うちはみんなあの子に甘いので・・・」

「まだ十三歳だろう?必要なら、王妃殿下も侯爵夫人も注意するはずだ。いずれは王太子妃となり、我々は臣下となる。今のうちに姉妹として過ごすことは心の支えになるだろう」

 ヴィル様の言葉に、私は頷いた。

 それは私も考えていたことだったから。

 リリアはあと四年もすれば王太子殿下と婚姻し、王太子妃となる。

 王太子妃になれば、私は姉ではなく臣下としてリリアと接しなければならない。

 そしてリリアも。

 リリアもそれが分かっているから、私に甘える度合いが増しているのだと思う。

「それでも、ちゃんと先に約束を取り付けてから来るように叱っておきましたわ」

「ああ。まぁ、殿下にも護衛は付いているが、こちらも警備する都合があるしな」

「あの子は一度言われたことは、二度と繰り返しませんから、次はちゃんと連絡して来ると思いますわ。ただ・・・またすぐに来そうですけど」

 私も領地から戻ったばかりだし、留守だった間の家政もしたいのよね。

 まぁ、さすがに泊まってはいかないから、帰った後にすれば良いのだけど。

 時間がないからお土産は送ったけど、家に持って行った方が良かったかしら?

 グリフォン公爵家に頻繁に来させるより、私が里帰りした方がいいかもしれない。

 リリアだけならまだしも、王太子殿下が頻繁に訪れているとなると、グリフォン公爵家寄りだと変な噂が立つかもしれないわ。

「殿下がおいでになるのなら、私がブルーム侯爵家に時折寄った方がいいのでしょうか?あまり殿下が頻繁に訪れていると変な噂が立つかもしれません」

「殿下が婚約者であるリリア・ブルーム侯爵令嬢を溺愛されていること。ブルーム侯爵家の娘二人を家族全員が溺愛していることは有名だ。問題ない」

 はい?
そんなことが有名?問題しかないんですが?
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