私のことはお気になさらず

みおな

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息子と家族

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「かっ、可愛いっ!」

 ヴィル様に抱かれたヴァイスを見て、リリアが歓喜の声を上げた。

 突然の大声に、ヴァイスはくりくりとした紫色の目を見開いたけど、泣き出しはしなかった。

 意外と大物になるかもしれないわ。

「リリア、大きな声を出しては駄目よ。お子がびっくりするでしょう」

「あ、ごめんなさい」

「ふふっ。リリアも赤子の頃に大きな音でびっくりしてよく泣いていたのよ。まぁあれは、お兄様のイタズラだったのだけど」

 私がそう言うと、リリアがお兄様をキッと睨んだ。

「そうなの?お兄様」

「忘れたなぁ。今から十三年近く前のことだろ?」

「お姉様は覚えてらしたじゃないですか!お兄様、もうボケてきましたの?大変!お義姉様、お兄様がボケて来られたみたいですわ」

 クスクス。クスクス。

 私とお義姉様、そしてお母様はリリアとお兄様のじゃれあいを微笑ましい気持ちで見ていた。

 ヴィル様に抱かれたままのヴァイスは、そんな様子にも泣きもせずヴィル様のお顔に手を伸ばしている。

 最近は成長して少し重くなって来たし、手足をよく動かすようになって来たから、安定しているヴィル様が抱かれた方がヴァイスも安心するみたいなのよね。

 ヴィル様も言葉にはなさらないけど、ヴァイスのことを大切に思ってくださってるみたいだし。

 いえ。嬉しいのよ?
私はお父様に愛されて育ったから、ヴァイスにも父親であるヴィル様に愛されて育って欲しいし。

「ヴァイス。ヴァイスの伯父様と叔母様は困った人たちね?」

 そう言ってヴァイスのほっぺを触ると、ヴァイスがへにゃっと笑う。

 か、可愛いわ。

 リリアのことも可愛くて仕方なかったけど、男の子も可愛いわ。

 そういえば、ランディも可愛かったわね。

 ランディにとって、ヴァイスは弟になる。

 ランディはとても優しいししっかりした自分の考えを持っている子だから、きっとヴァイスのいいお手本になるわ。

 来年くらいには領地に連れて行って、会わせたいわ。

「どうした?」

「あ、いえ。ランディに会わせたいと思ったのです。ランディは優しい子ですし、きっとヴァイスの良いお兄ちゃんになってくれると思いましたの」

「呼ぶか?」

「でも、領地で頑張っているのでしょう?」

 領地から戻ってから妊娠が分かったから、領地に行けていない。

 ヴァイスを連れて行けるのは一歳になったくらいだと思うから、出来るならランディに来てもらいたいけど・・・

 ヴィル様から離れて領地で頑張って勉強しているランディを呼ぶのは正しいの?
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