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私の望みをお伝えしました
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「私は・・・王太子殿下と添い遂げるつもりはありません。もとより、異世界人である聖女様を王太子妃にすることは難しいでしょう。この国のことを知らないだけでなく、いつお帰りになるか分からないのですから。そして私自身、私を冤罪で殺した王太子殿下を想うことは出来ません。出来れば会いたくないくらいです」
私の正直な気持ちを、ラミリス公爵ご夫妻に告げました。
ウェンディとして、彼に冤罪で断罪され、あの死ぬことを望まれた言葉を聞いた時に、彼への情など綺麗さっぱり消えてなくなりました。
ですがいきなり拒否したら、おかしいと思われるでしょう。
だからこそ、記憶がないことにするのです。
記憶がなければ、言動が変わったとしても疑われることはないはずです。
「そう・・・そうでしょうね。婚約者に冤罪をかけ毒殺するなど、きっとその事件ののちに王太子殿下は国王陛下から処罰されたことでしょう。理解りました。そういうことでしたら、全面的に我々は協力いたしましょう」
「あ、ありがとうございます」
「早速、医師を呼びましょう。王宮医師に、学生時代の親友がおります。彼ならば、協力してくれるはずです」
王宮医師にご友人がいらっしゃるのですね。
それは幸いです。
王宮医師ならば、王太子殿下も医師に対して疑いを持つことはできないでしょう。
ローラさんの助言通りに、公爵ご夫妻にお話して良かったです。
ジュリアーノ王太子殿下は不満に思うでしょうが、私の精神が聖女様の中にある限り、殿下のお側に侍るつもりはありません。
もちろん、ウェンディとしての知識を使えば、王太子妃として相応しい言動や知識を聖女様として振る舞うことはできます。
もしも、ユエ様の精神がこの体に戻り、私もウェンディに戻れるのでしたら、聖女様が王太子殿下の婚約者になれるように振る舞ってもかまいません。
いえ。むしろそうなるように、完璧に振る舞いますわ。
ですが、そうなることが決定事項でない限りは、そのような真似はしたくありません。
このままユエ様として、ジュリアーノ王太子殿下に嫁ぐなんて絶対に嫌ですもの。
もうひとつの懸念は・・・
本当のユエ様がどうなったのか、です。
もしもウェンディの体の中に入っていたら・・・
奇行を繰り返し、公爵令嬢としての矜持はめちゃくちゃになりそうですわ。
それに、両親と兄に迷惑をかけてしまいます。
こう言ってはなんですけど、出来ることならユエ様の精神がウェンディの中に入っていませんように。
私の正直な気持ちを、ラミリス公爵ご夫妻に告げました。
ウェンディとして、彼に冤罪で断罪され、あの死ぬことを望まれた言葉を聞いた時に、彼への情など綺麗さっぱり消えてなくなりました。
ですがいきなり拒否したら、おかしいと思われるでしょう。
だからこそ、記憶がないことにするのです。
記憶がなければ、言動が変わったとしても疑われることはないはずです。
「そう・・・そうでしょうね。婚約者に冤罪をかけ毒殺するなど、きっとその事件ののちに王太子殿下は国王陛下から処罰されたことでしょう。理解りました。そういうことでしたら、全面的に我々は協力いたしましょう」
「あ、ありがとうございます」
「早速、医師を呼びましょう。王宮医師に、学生時代の親友がおります。彼ならば、協力してくれるはずです」
王宮医師にご友人がいらっしゃるのですね。
それは幸いです。
王宮医師ならば、王太子殿下も医師に対して疑いを持つことはできないでしょう。
ローラさんの助言通りに、公爵ご夫妻にお話して良かったです。
ジュリアーノ王太子殿下は不満に思うでしょうが、私の精神が聖女様の中にある限り、殿下のお側に侍るつもりはありません。
もちろん、ウェンディとしての知識を使えば、王太子妃として相応しい言動や知識を聖女様として振る舞うことはできます。
もしも、ユエ様の精神がこの体に戻り、私もウェンディに戻れるのでしたら、聖女様が王太子殿下の婚約者になれるように振る舞ってもかまいません。
いえ。むしろそうなるように、完璧に振る舞いますわ。
ですが、そうなることが決定事項でない限りは、そのような真似はしたくありません。
このままユエ様として、ジュリアーノ王太子殿下に嫁ぐなんて絶対に嫌ですもの。
もうひとつの懸念は・・・
本当のユエ様がどうなったのか、です。
もしもウェンディの体の中に入っていたら・・・
奇行を繰り返し、公爵令嬢としての矜持はめちゃくちゃになりそうですわ。
それに、両親と兄に迷惑をかけてしまいます。
こう言ってはなんですけど、出来ることならユエ様の精神がウェンディの中に入っていませんように。
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