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養父母に打ち明けてみました
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「あの・・・お話があるのですが」
私がおずおずと話しかけると、ラミリス公爵ご夫妻は驚いたような表情をされました。
分かりますわ。
ローラさんが言うように、聖女様が傲慢な態度を取る方ならこのように話しかけたら驚いても仕方ありません。
「ど、どうしたのだ?聖女様」
戸惑った様子の公爵様ですが、私も驚いています。
え?養女になっているのに、ユエとお名前で呼ぶのではなく聖女様と呼ばれているのですか?
「ラミリス公爵様、公爵夫人様。私はウェンディ・レンブランなのです」
「は?」
「最初から、お話しますわ。私は、ジュリアーノ王太子殿下からユエ様を害しようとしたと冤罪で投獄され、そして殿下から毒を盛られました。毒のせいで記憶ははっきりしませんが、どうやら国王陛下から側妃をもつことを許されず、私を殺すことにしたようです。そして、目が覚めたら・・・聖女様のお姿になっていたのです。侍女のローラさんに相談したところ、公爵ご夫妻に話した方がいいと言われて・・・」
「ウェンディ・レンブラン公爵令嬢・・・」
私は公爵令嬢の上、王太子殿下の婚約者でしたので、公爵ご夫妻にも面識があります。
ですが、ご挨拶程度しかしたことがないので、私がウェンディだという証拠を示すことが難しいです。
「こんなことが本当にあるとは・・・それで、ウェンディ嬢はこれからどうなさるおつもりですか?」
「私のことはどうかユエとお呼びください。もし誰かに聞かれたら、怪しまれてしまいますから。もっとも、私も慣れていませんので、反応できるか不安ですけど」
「そ、そうですか。では、ユエ・・・様と」
「殿下の前でも聖女様とお呼びになっていたのですか?それならば聖女様でもかまいませんが」
「いや、他の人間がいるところでは、ユエと呼ぶように言われていました。あの方は・・・我々の前と殿下の前では態度が違いましたので」
やっぱりそうなのですね。
「なら、ずっとユエとお呼びください。もっとも、私がいつまで聖女様の中にいるか分かりませんが」
「分かりました」
「それで、これからですけれど・・・明後日には王太子殿下が再びいらっしゃいます。私の言動が今までの聖女様と違えばおかしいと思われるでしょう。ですから、聖女様は熱でしばらく寝込んでいることにして欲しいのです。信用できるお医者様にそう殿下に伝えていただいて、そして目覚めたら記憶障害を起こしたことにします」
王太子殿下との会話など何も分からないのですから、忘れたことにするのが一番無難だと思います。
私がおずおずと話しかけると、ラミリス公爵ご夫妻は驚いたような表情をされました。
分かりますわ。
ローラさんが言うように、聖女様が傲慢な態度を取る方ならこのように話しかけたら驚いても仕方ありません。
「ど、どうしたのだ?聖女様」
戸惑った様子の公爵様ですが、私も驚いています。
え?養女になっているのに、ユエとお名前で呼ぶのではなく聖女様と呼ばれているのですか?
「ラミリス公爵様、公爵夫人様。私はウェンディ・レンブランなのです」
「は?」
「最初から、お話しますわ。私は、ジュリアーノ王太子殿下からユエ様を害しようとしたと冤罪で投獄され、そして殿下から毒を盛られました。毒のせいで記憶ははっきりしませんが、どうやら国王陛下から側妃をもつことを許されず、私を殺すことにしたようです。そして、目が覚めたら・・・聖女様のお姿になっていたのです。侍女のローラさんに相談したところ、公爵ご夫妻に話した方がいいと言われて・・・」
「ウェンディ・レンブラン公爵令嬢・・・」
私は公爵令嬢の上、王太子殿下の婚約者でしたので、公爵ご夫妻にも面識があります。
ですが、ご挨拶程度しかしたことがないので、私がウェンディだという証拠を示すことが難しいです。
「こんなことが本当にあるとは・・・それで、ウェンディ嬢はこれからどうなさるおつもりですか?」
「私のことはどうかユエとお呼びください。もし誰かに聞かれたら、怪しまれてしまいますから。もっとも、私も慣れていませんので、反応できるか不安ですけど」
「そ、そうですか。では、ユエ・・・様と」
「殿下の前でも聖女様とお呼びになっていたのですか?それならば聖女様でもかまいませんが」
「いや、他の人間がいるところでは、ユエと呼ぶように言われていました。あの方は・・・我々の前と殿下の前では態度が違いましたので」
やっぱりそうなのですね。
「なら、ずっとユエとお呼びください。もっとも、私がいつまで聖女様の中にいるか分かりませんが」
「分かりました」
「それで、これからですけれど・・・明後日には王太子殿下が再びいらっしゃいます。私の言動が今までの聖女様と違えばおかしいと思われるでしょう。ですから、聖女様は熱でしばらく寝込んでいることにして欲しいのです。信用できるお医者様にそう殿下に伝えていただいて、そして目覚めたら記憶障害を起こしたことにします」
王太子殿下との会話など何も分からないのですから、忘れたことにするのが一番無難だと思います。
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