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私はできるのでしょうか
「ジュリアーノ王太子殿下。お聞きしてもいいですか?」
私の問いかけに、殿下は不安そうな目を私に向けました。
「どうしたの、リティ?改まって」
「もし・・・もし聖女様が戻って来られたら、どうなさいますか?」
「え?」
「だって、いきなり現れて、いきなり消えられたのですよね?なら、またいきなり現れることもあるのではないでしょうか。その聖女様のことを、ジュリアーノ王太子殿下はとても想われていたのですよね?私は・・・婚約者が他の方を想うことを許容出来ません。もし、ジュリアーノ王太子殿下がその方を少しでも望むのなら・・・私は婚約はお受けできません」
もしこれで、聖女様でなくユエリティ皇女殿下を選ぶと言われたなら・・・
ジュリアーノ王太子殿下から婚約したいと申し込まれた時に、お断りしてあげましょう。
あなたは、過去のあなたは、ウェンディを冤罪で捕らえ、そして殺したのだと。
そのせいで聖女様はこの世界からいなくなり、ウェンディは目覚めないのだと。
ウェンディを殺したあなたと、今のあなたは違うかもしれません。
でも、どちらも同じ私。
聖女様でなくユエリティ皇女殿下を選んだ王太子殿下なら、後悔してくれるかしら?
不安になります。
神様には、次はないと言われているのです。
もう少し、時間をかけて・・・
殿下が片時も、ユエリティ皇女殿下を離せなくなるまで待つべきでしょうか?
急いては事を仕損じると言います。
でも婚約してしまうと、ユエリティ皇女殿下の疵になってしまいます。
「リティ」
「・・・はい」
「リティにそう言わせた僕が悪い。そう言われて、即答できない僕が悪い。でもリティに嘘は言いたくない」
「嘘、ですか」
「ああ。言葉の上だけで、リティを選ぶと言ってもリティは信じられないだろう?でも、リティを好きな気持ちは本当なんだ。だから、候補のままで交流はして欲しい。次は僕がメトルファン皇国に会いに行く。その時は、リティに信じてもらえる答えを持っていくよ」
そうでした。
聖女様に夢中になる前のジュリアーノ王太子殿下は、誠実で真っ直ぐな方でした。
だからこそ、この方と共に国を支えていこうと思っていたのです。
この方となら、穏やかに敬愛し合える間柄でいられると思っていたのです。
「分かりました。誠実であろうとしてくださり、ありがとうございます。どのようなお答えになるとしても、お待ちしております」
「うん。必ず会いに行く」
私は・・・
今のこの方を突き放して、絶望させることができるのでしょうか。
私の問いかけに、殿下は不安そうな目を私に向けました。
「どうしたの、リティ?改まって」
「もし・・・もし聖女様が戻って来られたら、どうなさいますか?」
「え?」
「だって、いきなり現れて、いきなり消えられたのですよね?なら、またいきなり現れることもあるのではないでしょうか。その聖女様のことを、ジュリアーノ王太子殿下はとても想われていたのですよね?私は・・・婚約者が他の方を想うことを許容出来ません。もし、ジュリアーノ王太子殿下がその方を少しでも望むのなら・・・私は婚約はお受けできません」
もしこれで、聖女様でなくユエリティ皇女殿下を選ぶと言われたなら・・・
ジュリアーノ王太子殿下から婚約したいと申し込まれた時に、お断りしてあげましょう。
あなたは、過去のあなたは、ウェンディを冤罪で捕らえ、そして殺したのだと。
そのせいで聖女様はこの世界からいなくなり、ウェンディは目覚めないのだと。
ウェンディを殺したあなたと、今のあなたは違うかもしれません。
でも、どちらも同じ私。
聖女様でなくユエリティ皇女殿下を選んだ王太子殿下なら、後悔してくれるかしら?
不安になります。
神様には、次はないと言われているのです。
もう少し、時間をかけて・・・
殿下が片時も、ユエリティ皇女殿下を離せなくなるまで待つべきでしょうか?
急いては事を仕損じると言います。
でも婚約してしまうと、ユエリティ皇女殿下の疵になってしまいます。
「リティ」
「・・・はい」
「リティにそう言わせた僕が悪い。そう言われて、即答できない僕が悪い。でもリティに嘘は言いたくない」
「嘘、ですか」
「ああ。言葉の上だけで、リティを選ぶと言ってもリティは信じられないだろう?でも、リティを好きな気持ちは本当なんだ。だから、候補のままで交流はして欲しい。次は僕がメトルファン皇国に会いに行く。その時は、リティに信じてもらえる答えを持っていくよ」
そうでした。
聖女様に夢中になる前のジュリアーノ王太子殿下は、誠実で真っ直ぐな方でした。
だからこそ、この方と共に国を支えていこうと思っていたのです。
この方となら、穏やかに敬愛し合える間柄でいられると思っていたのです。
「分かりました。誠実であろうとしてくださり、ありがとうございます。どのようなお答えになるとしても、お待ちしております」
「うん。必ず会いに行く」
私は・・・
今のこの方を突き放して、絶望させることができるのでしょうか。
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