入れ替わり転生〜生まれ変わったら、私を殺した婚約者の最愛になっていました〜

みおな

文字の大きさ
60 / 88

私の答えと決断②

しおりを挟む
「王太子殿下。信じられない気持ちは理解できます。ですから夢物語を聞くつもりでお聞きください」

「あ、ああ」

 戸惑いながらも、王太子殿下が頷いたのを確認して、私は口を開きました。

「王太子殿下は、ウェンディ・レンブラン公爵令嬢と婚約していました。政略的なものでしたが、穏やかな関係でした。ですが、異世界より聖女様が現れたことで変化が訪れます。この世界のことを知らない聖女様をお支えするためにおそばにいることで、王太子殿下は聖女様に惹かれ始めたのです」

「・・・」

 なるべく客観的に話すように心がけていますけれど、できていますでしょうか。

 王太子殿下も、別段お顔を顰められてはいませんから、大丈夫のようですね。

「聖女様を愛した王太子殿下は、ウェンディを疎ましく感じるようになられたのだと思います。ウェンディは王妃様や両親から、聖女様は大切な方なのだから未来の王太子妃として一緒にお支えするようにと言われていたので、何か言うことはなかったのですが。周囲も大らかな心で見守って欲しいとウェンディに求めました。それは、突然現れた聖女様はいつ突然いなくなるか分からないので王太子妃にすることはない、という理由もありました」

 これは、国王陛下や両親にも言われていたことです。

 それに聖女様は貴族としてのマナーが壊滅的でしたから、その点にも不安要素があったそうです。

「私は王太子殿下ご自身ではありませんから、この予想が正しいのかどうかは分かりません。ですが、殿下は聖女様を王太子妃にするために・・・聖女様を王太子妃にするために、冤罪でウェンディを捕らえ、毒薬を飲ませたのです」

「そ、そんなことはしていないっ!」

「ええ。王太子殿下はそのようなことはなさっていません。これは、私の一度目の人生の話です」

 王太子殿下は、胡散臭いものでも見るような目で私を見ました。

 分かります。それが普通の反応ですわ。

 私の話を信じてくれた、ラミリスのおじ様とおば様が珍しいのですわ。

「そう、一度目なのです。毒を飲み、血を吐いて地下牢で死んだ私は目覚めたら、聖女様の中に入っておりました」

「!」

「記憶喪失と言ったのは、私には聖女様と王太子殿下の会話も何も、分からなかったからです。知らないことを怪しまれるよりも、記憶を失ったということにしたのです。そして、ウェンディの体の方は、精神がないためでしょうか、眠ったままになりました」

 ようやく、私の言っていることに真実味が感じられたのか、王太子殿下のお顔が真っ青になりました。
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜

鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。 しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。 王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。 絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。 彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。 誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。 荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。 一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。 王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。 しかし、アリシアは冷たく拒否。 「私はもう、あなたの聖女ではありません」 そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。 「俺がお前を守る。永遠に離さない」 勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動…… 追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

婚約破棄追放された公爵令嬢、前世は浪速のおばちゃんやった。 ―やかましい?知らんがな!飴ちゃん配って正義を粉もんにした結果―

ふわふわ
恋愛
公爵令嬢にして聖女―― そう呼ばれていたステラ・ダンクルは、 「聖女の資格に欠ける」という曖昧な理由で婚約破棄、そして追放される。 さらに何者かに階段から突き落とされ、意識を失ったその瞬間―― 彼女は思い出してしまった。 前世が、 こてこての浪速のおばちゃんだったことを。 「ステラ? うちが? えらいハイカラな名前やな! クッキーは売っとらんへんで?」 目を覚ました公爵令嬢の中身は、 ずけずけ物言い、歯に衣着せぬマシンガントーク、 懐から飴ちゃんが無限に出てくる“やかましいおばちゃん”。 静かなざまぁ? 上品な復讐? ――そんなもん、性に合いません。 正義を振りかざす教会、 数字と規定で人を裁く偽聖女、 声の大きい「正しさ」に潰される現場。 ステラが選んだのは、 聖女に戻ることでも、正義を叫ぶことでもなく―― 腹が減った人に、飯を出すこと。 粉もん焼いて、 飴ちゃん配って、 やかましく笑って。 正義が壊れ、 人がつながり、 気づけば「聖女」も「正義」も要らなくなっていた。 これは、 静かなざまぁができない浪速のおばちゃんが、 正義を粉もんにして焼き上げる物語。 最後に残るのは、 奇跡でも裁きでもなく―― 「ほな、食べていき」の一言だけ。

出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね

猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」 広間に高らかに響く声。 私の婚約者であり、この国の王子である。 「そうですか」 「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」 「… … …」 「よって、婚約は破棄だ!」 私は、周りを見渡す。 私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。 「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」 私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。 なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

聖女の妹、『灰色女』の私

ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。 『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。 一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?

「予備」として連れてこられた私が、本命を連れてきたと勘違いした王国の滅亡フラグを華麗に回収して隣国の聖女になりました

平山和人
恋愛
王国の辺境伯令嬢セレスティアは、生まれつき高い治癒魔法を持つ聖女の器でした。しかし、十年間の婚約期間の末、王太子ルシウスから「真の聖女は別にいる。お前は不要になった」と一方的に婚約を破棄されます。ルシウスが連れてきたのは、派手な加護を持つ自称「聖女」の少女、リリア。セレスティアは失意の中、国境を越えた隣国シエルヴァード帝国へ。 一方、ルシウスはセレスティアの地味な治癒魔法こそが、王国の呪いの進行を十年間食い止めていた「代替の聖女」の役割だったことに気づきません。彼の連れてきたリリアは、見かけの派手さとは裏腹に呪いを加速させる力を持っていました。 隣国でその真の力を認められたセレスティアは、帝国の聖女として迎えられます。王国が衰退し、隣国が隆盛を極める中、ルシウスはようやくセレスティアの真価に気づき復縁を迫りますが、後の祭り。これは、価値を誤認した愚かな男と、自分の力で世界を変えた本物の聖女の、代わりではなく主役になる物語です。

処理中です...