6 / 28
第6話
しおりを挟む
マグエルはその日も、いつも通りにミリィの部屋でお茶を飲んでいた。
義妹のミリィは、ここ数週間は元気なようで、マグエルは安心していた。
身体が弱いミリィは、よく微熱を出しては寝込み、寂しがってマグエルにそばにいて欲しいと泣くのだ。
可愛らしい義妹の願いだ。マグエルに断るという選択肢はなかった。
(そういえば、ずいぶんとニケと会っていないな)
エリンと一緒に出かけることに文句を言って来たから、頭を冷やさせるためにデートの約束をことごとくキャンセルしてきたが、そろそろ自分の行いを悔いている頃だろう。
エリンは大切な幼馴染だ。
それを蔑ろにしようとしたのだから、ニケには反省してもらわなければならない。
泣いて謝って来たら、仕方ないから許してやろう。2度とそんなことを考えないように躾けておかないとな。
そんなことを考えながら、ミリィと談笑していたところへ、いきなり父親である侯爵が入ってきた。
「父上。いくら父親でも、年頃のレディの部屋にノックもなしで入ってくるなど、失礼ですよ」
「そんなことは今はどうでもいい!マグエル!お前、ニケ・セラフィム嬢を蔑ろにしていたというのは本当かっ!?」
「何をおっしゃるのですか、父上。蔑ろにしていたのはニケの方ですよ。エリンと一緒のお出かけは嫌だなんて言うので、今は頭を冷やさせるために出かけていないだけです」
胸をはって言ったマグエルに、父親であるロートレック侯爵は頭を抱えた。
自分の息子はここまで愚かだっただろうか。次男だからと甘やかしすぎただろうか。
長男のリオルは優しすぎるところがあったが、人に好かれる性格だった。
少々、嫡男としては優しすぎる息子に不安を感じていたら、弟であるマグエルに後継の座を譲ると言って家を出て行ってしまった。
手を尽くして探したが見つからず、やむ得ずマグエルの婚約者としてセラフィム子爵家に婚約を申し込んだ。
本来なら、セラフィム子爵令嬢が13歳になるのを待って、リオルとの婚約を申し込む予定だったのだ。
リオルはニケ嬢とは5歳年が離れているが、ニケ嬢の姉君であるクレティア嬢にはすでに婚約者が居られた。
セラフィム家と縁を結ぶには、ニケ嬢しかいない。そう思い、婚約を申し込もうとしていた矢先、リオルが出奔した。
リオルの真意は分からない。
侯爵家の嫡男ともあろう者が、その座を放棄して逃げるなど、許されることではない。
だから、マグエルを嫡子に据えロートレック侯爵家の地位を磐石にするためにも、セラフィム子爵家との婚約は必然だったのだ。
まさか、マグエルがここまで愚かだったなんて思いもしなかった。
義妹のミリィは、ここ数週間は元気なようで、マグエルは安心していた。
身体が弱いミリィは、よく微熱を出しては寝込み、寂しがってマグエルにそばにいて欲しいと泣くのだ。
可愛らしい義妹の願いだ。マグエルに断るという選択肢はなかった。
(そういえば、ずいぶんとニケと会っていないな)
エリンと一緒に出かけることに文句を言って来たから、頭を冷やさせるためにデートの約束をことごとくキャンセルしてきたが、そろそろ自分の行いを悔いている頃だろう。
エリンは大切な幼馴染だ。
それを蔑ろにしようとしたのだから、ニケには反省してもらわなければならない。
泣いて謝って来たら、仕方ないから許してやろう。2度とそんなことを考えないように躾けておかないとな。
そんなことを考えながら、ミリィと談笑していたところへ、いきなり父親である侯爵が入ってきた。
「父上。いくら父親でも、年頃のレディの部屋にノックもなしで入ってくるなど、失礼ですよ」
「そんなことは今はどうでもいい!マグエル!お前、ニケ・セラフィム嬢を蔑ろにしていたというのは本当かっ!?」
「何をおっしゃるのですか、父上。蔑ろにしていたのはニケの方ですよ。エリンと一緒のお出かけは嫌だなんて言うので、今は頭を冷やさせるために出かけていないだけです」
胸をはって言ったマグエルに、父親であるロートレック侯爵は頭を抱えた。
自分の息子はここまで愚かだっただろうか。次男だからと甘やかしすぎただろうか。
長男のリオルは優しすぎるところがあったが、人に好かれる性格だった。
少々、嫡男としては優しすぎる息子に不安を感じていたら、弟であるマグエルに後継の座を譲ると言って家を出て行ってしまった。
手を尽くして探したが見つからず、やむ得ずマグエルの婚約者としてセラフィム子爵家に婚約を申し込んだ。
本来なら、セラフィム子爵令嬢が13歳になるのを待って、リオルとの婚約を申し込む予定だったのだ。
リオルはニケ嬢とは5歳年が離れているが、ニケ嬢の姉君であるクレティア嬢にはすでに婚約者が居られた。
セラフィム家と縁を結ぶには、ニケ嬢しかいない。そう思い、婚約を申し込もうとしていた矢先、リオルが出奔した。
リオルの真意は分からない。
侯爵家の嫡男ともあろう者が、その座を放棄して逃げるなど、許されることではない。
だから、マグエルを嫡子に据えロートレック侯爵家の地位を磐石にするためにも、セラフィム子爵家との婚約は必然だったのだ。
まさか、マグエルがここまで愚かだったなんて思いもしなかった。
1,637
あなたにおすすめの小説
恋人が聖女のものになりました
キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」
聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。
それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。
聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。
多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。
ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……?
慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。
従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。
完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。
菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。
小説家になろうさんでも投稿します。
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
婚約破棄をしてきた婚約者と私を嵌めた妹、そして助けてくれなかった人達に断罪を。
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーで私は婚約者の第一王太子殿下に婚約破棄を言い渡される。
全て妹と、私を追い落としたい貴族に嵌められた所為である。
しかも、王妃も父親も助けてはくれない。
だから、私は……。
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる