あなたなんて大嫌い

みおな

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第13話

「さて、どうするか決めたのか」

 父親の問いかけに、マグエルは言葉もなく俯いた。

 決めたのかと言われても、廃籍などと言われてどうしろというのか。
 廃籍と言われた後、エリンに会いにネーヴェ伯爵家に行ったが、留守だと執事から追い返された。

 がっかりして戻って来たら、屋敷には父親もミリィもいなくて、そういえばセラフィム子爵家へ行くとか言ってたことに気付いた。

 一緒に来るように言われたが、何故謝罪になど行かなければならないのか、意味がわからない。

 我が家は侯爵家で、相手は子爵家だというのに、どうして父上は謝罪だなんて言うんだ?

 マグエルは、確かにミリィが側にいてと言ったから、ニケとのデートはキャンセルした。
 だけどそれは義妹の体調が悪いんだから、仕方ないことだろう?

 エリンが寂しいから一緒に出かけたいと言ったから、デートに連れて行った。
 だけどそれは、幼馴染が友達がいないから婚約者とも友達になれたらって言うから、その橋渡しみたいなものだろう?

 なのに、どうして婚約破棄だなんて言われなきゃならないんだ?
 有責って言うけど、何が罪だって言うんだ?

 結局ニケは、マグエルの愛を独り占めしたくて、嫉妬しているだけじゃないか?
 ちょっと拗ねるくらいなら可愛げがあるのに、婚約破棄だなんてやり過ぎだろう。

 おかげで父上には叱られるし、廃籍だなんて笑えない冗談まで言われてしまったじゃないか。

 マグエルは頭の中で、そう考えているうちに、ニケに対して腹が立って来てしまった。

 ニケに文句を言いに行こう。そして、自分が悪かったと謝罪させよう。

 そう決意し、マグエルは父親にバレないようにそっと屋敷から出た。

 一方、エリン・ネーヴェ伯爵令嬢は、父親と母親から酷く叱責されていた。

 マグエルがネーヴェ伯爵家を訪れた際に、実はエリンは居たのだが、父親である伯爵が追い返すように執事に伝えたのだ。

 侯爵家の子息であり、幼馴染のマグエルを追い返すなんてと父に言い募ったエリンは、それから1時間もの間ずっと両親から叱られ続けている。

「お父様もお母様も、どうしてそんな酷いことを言うの?マグエルは幼馴染なのよ。しかも侯爵家の後継。仲良くして何がいけないの?」

「いい加減にしなさい!婚約者のいる子息にベタベタと纏わりつくなど、それでも伯爵家の娘かっ!それに、もうマグエルは侯爵家の後継などではない!!」

「な、何を言ってるの?あそこはもうマグエルしかいないじゃない」

「セラフィム子爵家を怒らせたのだ。マグエルを廃籍しなければロートレック侯爵家は没落するしかない。お前も、嫁の貰い手などもう無くなった。そんなにマグエルがいいなら、一緒に平民にでも何にでもなるがいい!」

「お父様っ?お母様!何とかおっしゃって下さい」

 父の絶縁宣言に、唖然として母に助けを求めるが、伯爵夫人である母は冷たくエリンを見つめるだけで、助けてくれない。

「婚約者のいる、しかもセラフィム子爵家のご令嬢の婚約者にまとわり付いた令嬢だと、社交界で噂になっているわ。貴女に縁談など2度と来ないでしょう。平民でも良識のある者は親しくすらしてくれないでしょうね」

 エリンは初めて聞く母親の冷たい言葉に、何も言うことが出来なくなった。

 ただ、マグエルと親しくしていただけなのに。
 ほんの少し、子爵家の令嬢なんかでなく、自分の方が婚約者に相応しいのにと思っていただけなのに。

 一体、何を間違えたというのだろうか。

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