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第28話《最終話》
ロートレック侯爵家は、ミリィを後継者としたまま、家出中だった長男リオルを迎え入れた。その婚約者である平民のチェルシーとともに。
4年前に姿を消していたリオルは、現在20歳。その婚約者のチェルシーも同い年のようだ。
本来なら結婚していてもおかしくない2人だったが、どうやらチェルシーが父親であるロートレック侯爵にキチンと話すまでは結婚はしないと言っていたらしい。
平民で、両親も亡くしているチェルシーは天涯孤独らしく、そのせいかどんな理由があっても親を蔑ろにしてはいけないと、ずっとリオルに言っていたそうだ。
侯爵家の嫁になるならと、ニケはブラッドの実家ビスクランド侯爵家の養女とすることを提案した。
ミリィはまだ12歳である。
ケルドラード皇国での治療のおかげか、体調は回復に向かっているようだが、まだ婚約者を決めるには早いだろう。
正式な婚約者が出来、ロートレック侯爵家を継ぐまでは、リオルとチェルシーがミリィを支えることとなるだろう。
フォレスト王国で使用人として働いているエリンは、今も一生懸命に働いているようだ。
彼女たちのことはビスクランド侯爵家に任せているので、ニケは報告を受けるだけだが、それでも頑張っていると聴くとホッとする。
マグエルがあんな馬鹿なことをしなければ、エリンと結婚して幸せになる未来もあったのに、と思う。
最初は、マグエルだけが悪いわけではなかった。エリンもミリィもニケの存在を蔑ろにし過ぎていた。
だが、最終的に間違えたのはマグエルだ。
婚約解消を告げられた時点で、ニケに謝罪をしていたなら。ミリィのように自分の非を認めていたなら、こんな結末は迎えなかったのだ。
エリンは結局、謝罪をする前にマグエルがやらかしたせいで、フォレスト王国に送られてしまったが、ビスクランド伯爵家で使用人として働くうちに、謝罪の言葉も口にしていたそうだ。
鉱山送りになったマグエルは、一応まだ生きているようだ。
だが、鉱山での仕事はあまりにも過酷だ。おそらくは長くは生きられないだろう。
ニケは自分の隣で、蕩けるような笑みを浮かべたまま自分を見つめるラギトに、そっと身を寄せた。
マグエルが幼馴染と義妹を優先したりしなければ、ニケがした苦言に真面目に向き合っていたら、ニケが王太子殿下であるラギトと婚約することもなかっただろう。
特別、燃え上がるような想いを抱くこともなく、貴族の結婚とはそんなものだと思いながらマグエルと結婚していたはずだ。
決して、それが不幸なことだとは思わない。マグエルが誠実であってくれたなら、ニケもマグエルに誠実な妻であっただろう。
そして、それなりに穏やかな夫婦生活を築いていたはずだ。
その生活と、今の溺愛の海に沈んだような生活。どちらが幸せかなんて、今のニケには答えは見つからない。
きっとその答えは、何年も何十年も先、全てが終わる時に見つかるのだろう。
(あなたのことを愛したことはなかったけど、でも好きではあったのよ)
もう2度と会うことのないマグエルを思いながら、ニケはラギトに微笑みかけた。
「あなたのことが大好きよ」
4年前に姿を消していたリオルは、現在20歳。その婚約者のチェルシーも同い年のようだ。
本来なら結婚していてもおかしくない2人だったが、どうやらチェルシーが父親であるロートレック侯爵にキチンと話すまでは結婚はしないと言っていたらしい。
平民で、両親も亡くしているチェルシーは天涯孤独らしく、そのせいかどんな理由があっても親を蔑ろにしてはいけないと、ずっとリオルに言っていたそうだ。
侯爵家の嫁になるならと、ニケはブラッドの実家ビスクランド侯爵家の養女とすることを提案した。
ミリィはまだ12歳である。
ケルドラード皇国での治療のおかげか、体調は回復に向かっているようだが、まだ婚約者を決めるには早いだろう。
正式な婚約者が出来、ロートレック侯爵家を継ぐまでは、リオルとチェルシーがミリィを支えることとなるだろう。
フォレスト王国で使用人として働いているエリンは、今も一生懸命に働いているようだ。
彼女たちのことはビスクランド侯爵家に任せているので、ニケは報告を受けるだけだが、それでも頑張っていると聴くとホッとする。
マグエルがあんな馬鹿なことをしなければ、エリンと結婚して幸せになる未来もあったのに、と思う。
最初は、マグエルだけが悪いわけではなかった。エリンもミリィもニケの存在を蔑ろにし過ぎていた。
だが、最終的に間違えたのはマグエルだ。
婚約解消を告げられた時点で、ニケに謝罪をしていたなら。ミリィのように自分の非を認めていたなら、こんな結末は迎えなかったのだ。
エリンは結局、謝罪をする前にマグエルがやらかしたせいで、フォレスト王国に送られてしまったが、ビスクランド伯爵家で使用人として働くうちに、謝罪の言葉も口にしていたそうだ。
鉱山送りになったマグエルは、一応まだ生きているようだ。
だが、鉱山での仕事はあまりにも過酷だ。おそらくは長くは生きられないだろう。
ニケは自分の隣で、蕩けるような笑みを浮かべたまま自分を見つめるラギトに、そっと身を寄せた。
マグエルが幼馴染と義妹を優先したりしなければ、ニケがした苦言に真面目に向き合っていたら、ニケが王太子殿下であるラギトと婚約することもなかっただろう。
特別、燃え上がるような想いを抱くこともなく、貴族の結婚とはそんなものだと思いながらマグエルと結婚していたはずだ。
決して、それが不幸なことだとは思わない。マグエルが誠実であってくれたなら、ニケもマグエルに誠実な妻であっただろう。
そして、それなりに穏やかな夫婦生活を築いていたはずだ。
その生活と、今の溺愛の海に沈んだような生活。どちらが幸せかなんて、今のニケには答えは見つからない。
きっとその答えは、何年も何十年も先、全てが終わる時に見つかるのだろう。
(あなたのことを愛したことはなかったけど、でも好きではあったのよ)
もう2度と会うことのないマグエルを思いながら、ニケはラギトに微笑みかけた。
「あなたのことが大好きよ」
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