拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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求婚。

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「そうか。アルトナーの女王陛下の手のひらの上だったということだね」

 そうね。言葉は悪いけど、伯母様の思うように進んでいたわね。

 だけど、元婚約者様は伯母様の想像のはるか上を行っていた。

 あれはファンティーヌ様の存在が拍車をかけたのでしょうけど、予定を狂わされた伯母様はお怒りになって、元婚約者様とファンティーヌ様を処罰させた、ということね。

「伯母様はお母様を溺愛なさっていたから、お母様をメルキオール帝国に奪われたのが不満だったのでしょうね」

「だから代わりにクロエを?」

「お姉様はすでにルーファスお兄様と結婚されていたもの。なら、私だけでも手元に置きたかったのだと思うわ。王子殿下がいたなら、早いうちに婚約者にしたでしょうね」

 だけど、伯母様のところは三人とも王女殿下だから。

 多分、王配殿下に常々、私をアルトナー王国に迎えたいって言ってたのだと思うわ。

 だから、うまく誘導してお父様と王配殿下との間で私の婚約を決めるように仕向けた。

 伯母様が先導したのがバレたら、お母様に嫌われてしまうかもしれないものね。

「やれやれ。なら、アルトナー王国に住むといえば、僕との結婚を認めてくれるかな」

「あら?伯母様の了承より、お母様に認められなきゃ駄目よ。お母様が認めれば伯母様はお許しになるもの」

 まぁ、そのお母様も、私望んだら認めて下さるけど。

「・・・政略結婚なら両親に認めてもらえればできるけど、叶うならクロエとはいい関係を築きたい。クロエ、僕を君の婚約者にして欲しい。君に誠実であると誓う」

 シリルは私の前に跪くと、小さな花束を差し出した。

 私の好きな、チューリップの花束を受け取りながら、赤いチューリップの花言葉が愛の告白だったなと思い出す。

「・・・他に好きな人が出来たら、正直に話してくれる?」

「ああ」

「もし私が他に好きな人が出来たら、婚約をなかったことにしてくれる?」

「・・・辛いけど、クロエがそう望むのなら」

 シリルは言葉通り、私に誠実であろうとしてくれている。

 私は、跪いたままのシリルに手を差し出した。

「たとえ恋愛的な好きでなくても、シリルに誠実に向き合い、貴方に敬愛してもらえる婚約者になると誓うわ」

 婚約者になって欲しいと言われた時と同じ言葉を、再びシリルに告げる。

 同じ想いを返せないかもしれないけど、それでもシリルが私と結婚して良かったと思えるように、歩み寄るわ。

「僕も、クロエが僕と婚約したことを後悔することがないよう、クロエに誠実であると誓う。受け入れてくれてありがとう」

 そう言うと、シリルは私の差し出した手の甲に軽く触れるだけの口付けをして、とても嬉しそうに笑った。

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