拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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説明。

「あの・・・理解できているとは言えませんが、理由があることは分かりました。で、あの・・・アーゼル男爵令嬢が?」

 リグレスト様の戸惑いが手に取るように分かった。

 そうよね。単にまとわりつかれているとは思っても、何か問題があるとは思わないわよね。

 あの男爵令嬢、どう見ても貴族としての常識がなさそうだし、常識がない上での行動と思うわよね。

 それがいきなり、何か裏があるとか言われてもね。

 私だって、魔法に長けているこの国で聞いたのでなければ、信じなかったわ。

「すまない。細かいことを説明することは出来ないが、そういうわけであの男爵令嬢は当分放置の傾向になる。明後日には担当が戻って来るから、戻れば調査も進むだろう。フェルゲン公爵令嬢もだが、リグレスト侯爵令嬢にも被害が及ぶようなことになっては困る。アレが纏わりついてきても、僕ならば問題ないから、くれぐれも近づかないようにして欲しい」

「リグレスト様。アーゼル男爵令嬢とどうしても関わらなければならない時は、私とご一緒して下さい。出来れば関わらずにいてくださるとよろしいのですが。私には防御の魔道具が付けられております。最悪の事態は防げると思いますから」

 リグレスト様は私のことがお嫌いだから、一緒には居たくないと思うけれど、最悪の事態は想定しておかないといけないもの。

 私に危害が及ぶことを危惧して、お父様が今回護衛を付けてくれている。

 影と呼ばれる、表立ってでなく言葉通り影から守ってくれる存在。

 マキシミリオン王国に影を入れることには賛否両論だったけど、さすがに帝国皇女にもしものことがあれば国家同士の問題になるもの。

 シリルとルーファスお兄様が、マキシミリオン王国の国王陛下に話してくれた。

 学園には、基本的に侍女や護衛は立ち入れない。

 ただ、もしものことがあると困るから学園に一緒に通わせるために、王家や高位貴族は年齢の近い者を護衛や侍女として雇う。

 シリルにもいるし、キャリーヌ様にもいる。

 メルキオール帝国は、皇族が学園に通うことがないから、私にはそういう意味合いの護衛や侍女は居ないのよね。

「・・・分かりましたわ。アレを放置するのは耐えられませんが、数日の辛抱というのなら、近づかない様にいたしますわ」

「そうして欲しい。フェルゲン嬢も気をつけて欲しい。もちろん、クロエもだよ」

「理解っておりますわ」

「気をつけるわ」

 私シリルにあの男爵令嬢がまとわりつくのが我慢できなくて、無理を言ったのだもの。

 これ以上、心配させるようなことはしないわ。


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