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好意の行方
「お待たせしましたわ」
ジュリさんをお通ししている応接室に向かいました。
ソファーにちょこんと座られていたジュリさんは、わたくしが入ると、慌てて立ち上がられました。
「お座りになって。ごめんなさいね、お待たせして」
「い、いえ。そんな・・・」
「あら?紅茶が冷めてしまいましたわね。紅茶はお嫌いかしら?」
ジュリさんの前には、紅茶とお茶菓子のクッキーが置かれてありますが、手をつけた様子はありません。
すぐに侍女がわたくしの紅茶を入れるとともに、ジュリさんの前の紅茶も新しいものに取り替えます。
「す、すみません」
「お気になさらないで。初めて来た他人の家でくつろいでなどいられませんわよね。わたくしのことはご存知かしら?自己紹介もしていませんでしたわね」
「アルベーヌ様のことを知らない生徒などいません。お美しくて、お優しくて、アルベーヌ様は学園中の憧れの君です」
「まぁ!ジュリさんはお世辞がお上手ね。でも嬉しいですわ」
お世辞なんかじゃ、とかジュリさんはおっしゃっていますけど、わたくしは先程第3王子殿下に婚約破棄されましたのよ?
しかも、傲慢だの何だのと言われて。そのようなわたくしが憧れの的だなんてあり得ませんわ。
「わたくし、ジュリさんにお聞きしたいことがありますの」
「何でしょうか?」
「ジュリさんはジョエル様のことをお好きかしら?もし、ジュリさんが望まれるなら、わたくしお2人を・・・」
「あり得ませんっ!!」
わたくしが言い終わらないうちに、ジュリさんが立ち上がって叫ばれます。
ジュリさん?言葉の途中で発言するのはお行儀が悪くてよ?
「アルベーヌ様にあんな・・・あんな発言をされる方を好きだなんて、絶対あり得ません!」
「ジョエル様はあれでも一応王子殿下ですし、見目も麗しい方ですわよ」
「でもっ!でも、でも・・・」
わかりますわ。さすがに平民の方が王族に対して『見た目だけの王子』とは言えませんわよね。
あの方と結婚すれば、苦労する未来しか見えませんもの。
せめてもっと謙虚であれば、能力がないことも我慢できるかもしれませんけど、ああも無い無い尽くしでは、好意の持ちようがありません。
「では、ジュリさんは全く?」
「もちろんです。私も前々からお声はかけていただいてましたけど、こちらとしてはそんな気は全くありません」
本当に、ジョエル様は仕方のない方ですこと。お相手の気持ちも確かめずに、あのような場で発言されましたのね。
いえ。断られるわけがないと思っておられたのでしょうね。
あの自信がどこから湧いてくるのか、わたくしには全く理解できませんわ。
ジュリさんをお通ししている応接室に向かいました。
ソファーにちょこんと座られていたジュリさんは、わたくしが入ると、慌てて立ち上がられました。
「お座りになって。ごめんなさいね、お待たせして」
「い、いえ。そんな・・・」
「あら?紅茶が冷めてしまいましたわね。紅茶はお嫌いかしら?」
ジュリさんの前には、紅茶とお茶菓子のクッキーが置かれてありますが、手をつけた様子はありません。
すぐに侍女がわたくしの紅茶を入れるとともに、ジュリさんの前の紅茶も新しいものに取り替えます。
「す、すみません」
「お気になさらないで。初めて来た他人の家でくつろいでなどいられませんわよね。わたくしのことはご存知かしら?自己紹介もしていませんでしたわね」
「アルベーヌ様のことを知らない生徒などいません。お美しくて、お優しくて、アルベーヌ様は学園中の憧れの君です」
「まぁ!ジュリさんはお世辞がお上手ね。でも嬉しいですわ」
お世辞なんかじゃ、とかジュリさんはおっしゃっていますけど、わたくしは先程第3王子殿下に婚約破棄されましたのよ?
しかも、傲慢だの何だのと言われて。そのようなわたくしが憧れの的だなんてあり得ませんわ。
「わたくし、ジュリさんにお聞きしたいことがありますの」
「何でしょうか?」
「ジュリさんはジョエル様のことをお好きかしら?もし、ジュリさんが望まれるなら、わたくしお2人を・・・」
「あり得ませんっ!!」
わたくしが言い終わらないうちに、ジュリさんが立ち上がって叫ばれます。
ジュリさん?言葉の途中で発言するのはお行儀が悪くてよ?
「アルベーヌ様にあんな・・・あんな発言をされる方を好きだなんて、絶対あり得ません!」
「ジョエル様はあれでも一応王子殿下ですし、見目も麗しい方ですわよ」
「でもっ!でも、でも・・・」
わかりますわ。さすがに平民の方が王族に対して『見た目だけの王子』とは言えませんわよね。
あの方と結婚すれば、苦労する未来しか見えませんもの。
せめてもっと謙虚であれば、能力がないことも我慢できるかもしれませんけど、ああも無い無い尽くしでは、好意の持ちようがありません。
「では、ジュリさんは全く?」
「もちろんです。私も前々からお声はかけていただいてましたけど、こちらとしてはそんな気は全くありません」
本当に、ジョエル様は仕方のない方ですこと。お相手の気持ちも確かめずに、あのような場で発言されましたのね。
いえ。断られるわけがないと思っておられたのでしょうね。
あの自信がどこから湧いてくるのか、わたくしには全く理解できませんわ。
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