暴君陛下の溺愛妻になります〜悪女だと言われたので、それなら本当に悪女になりますね〜

みおな

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令嬢、聞き耳を立てる。

 漆黒の馬車は、ゆっくりと王宮から出て行きます。

 紋章は付いておりませんけど、周囲を護衛している騎士たちは、ジブリール帝国の騎士服を着ておられますから、馬車を止めるような者はおりません。

 普通は。

「も、申し訳ございません!馬車の中を検めさせていただきたく・・・」

「この馬車が、ジブリール帝国の皇帝陛下の乗る馬車と分かっての狼藉か?」

「あ、あの、我が国のが逃亡しておりまして、その、王太子殿下より王宮から出る馬車は全て検めるようにと」

 護衛騎士と、王宮の騎士でしょうか?会話が聞こえてまいります。

 罪人ですか。
目の前のラルク様のご機嫌が、とても悪くなっていくのが手に取るように理解りますわ。

「彼らは、自国の王太子の言葉に従っているだけですわ。怒らないでくださいな」

「・・・分かっている」

 ラルク様は不機嫌な様子で、座席を指差しながらわたくしに促します。

 この馬車の座席は中が空洞になっていて、子供なら二人くらい隠れられるようになっています。

 幼い頃、まだラルク様のご両親が生きておられた頃、よくかくれんぼをして遊びましたわ。

 今日のわたくしは、シンプルかつマーメイドラインのドレスを着ておりますから、何とか入れるかしら?

 わたくしが座席の中に隠れると、ラルク様は馬車の小窓を開け、外の騎士に声をかけました。

「確認させてやってもいいが、もし誰もいなかった場合はどう責任を取る?責任問題にさせてもらうが」

「え、あ、それは・・・」

 騎士の方が戸惑っている声が聞こえますけど、責任問題になるのは当然ですわ。

 ラルク様がシャムエル王国の貴族ならまだしも、他国の王族ですのよ。

 たとえ皇帝陛下でなかったとしても、他国の王族がを匿っているとの発言をしているわけですものね。

 ま、ネイサン様は何も考えておられないでしょうし、問題になったらあの騎士たちに責任転嫁するんでしょうけど。

 かわいそうに。
自国の王太子に言われたら、従うしかありませんものね。

 ラルク様が、ため息を吐かれました。

「それで責任問題になれば、王太子は其方らに責任転嫁するだろうな。自分はそんな命令は出していないと」

「「・・・」」

 あらあら。黙ってしまわれましたわ。
きっと、身に覚えがありますのね。

「確認したが、誰もいなかったと言え。そして、シャムエル王国が嫌になったなら、うちに来い。一ヶ月以内なら、受け入れてやろう」

 騎士の方々が息を呑んだのが、分かりました。

 

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