はい!喜んで!

みおな

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リエル・イグリットの場合

ファーゼンバーグ国王陛下の憂鬱

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 来るだろうと思っていたし、カルロス付きの侍従からも行くと言うと思うがどうするか?と問われてはいたが、案の定愚息はやって来た。

「父上っ。僕の王太子教育が終わったとはどういうことですか」

「どうもこうも、アンドレ師からはそう聞いている。お前は昨日、連絡もなしに王太子教育に遅れたらしいな?アンドレ師からは、ということは教育はもう十分だということだろうと言われたぞ?」

「そ、それは・・・どうしても外せない急用が・・・」

 ふん。どうせあの準男爵令嬢がらみだろう。

 セルゲイ・ファーゼンバーグ国王陛下は、そう予想し、鼻で笑いたい気分になった。

 女ひとり制御できないようなヤツに、国を任せられるわけがない。

「なら、何故連絡ひとつよこさなかった?生死に関わるような事態か?それなら仕方ないだろうが、そんな知らせは受けていないな。まぁ、いずれにせよアンドレ師の教育は終わりだ。師がそう言ったら、誰にも覆すことは出来ん」

 頑固というか融通が効かないというか。

 だが、それが師のやり方だ。

 やる気のない人間に教えても無駄だ、ということなのだろう。

「師の指示通り、騎士団で合同訓練に参加させてもらえ。座学は、教材があるのだから、必要だと思うのなら自分で学べばいい。本来、学びというものはそういうものだ」

「し、しかし・・・何故ミハエルの師になど」

「アレももう七歳だ。そろそろ、王子教育を始めねばならん。アンドレ師がやらせて欲しいというのでな。ならば頼むことにしたのだ」

 実際は、ミハエルを王太子にする話をしてアンドレ師に頼んだのだがな。

 ミハエルは利発な子だ。
今からキチンとした師に従事すれば、立派な王太子になれるだろう。

 少なくとも、兄のようにつまらない女に引っかかるような、愚鈍に育ってもらっては困る。

「話はそれだけか?なら、退出しろ。ああ、言っておくがミハエルや師に要らぬことを言うなよ?あまりにおいたが過ぎるようなら、それなりの罰を与えるぞ?」

「・・・っ!」

 カルロスは、顔色を悪くしてそのまま執務室を出て行った。

 ため息を吐くと、セルゲイは執務机をトン!と指先で叩いた。

「・・・」

「カルロスの見張りを強化しろ。王族として道を踏み外すことのないよう、しっかりとな」

「御意」

 短い返答の後、その気配は執務室から消えた。

 王族には、護衛と監視の意味で影が付いている。

 もちろん、それを知っているのは国王であるセルゲイだけだ。

 影は、国王直属。
国を傾かせることのないよう、たとえ愛する王妃であろうと、監視対象なのである。
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