「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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悪役令嬢回避編

妹(仮)の力説

「お兄様は、なまじ顔が良くて頭が良くて、何でも出来るものですから、こうなんて言うか物事に興味とかを持たないのです」

 お姉様と呼ばれるようになってから1時間。私は、ローラ姫様もといローラ様の力説をずっと聞かされていた。

 そろそろ紅茶も空になったし、帰っても良い?
 せっかく授業がなくなったのなら、帰ってゆっくりしたいのだけど。

「聞いてくださってますか?お姉様」

「はい」

 ローラ様。7歳にして、その力説はご立派ですけど、なんだかお姉さんは酔っ払いを相手にしているような気持ちですよ。

 しかし、婚約者様は無関心な人だったのね。それで、初めて興味を持った相手がヒロインなのかな。

 ヒロインは平民だから、王侯貴族を見慣れてる婚約者様からしたら、新鮮だったのかもしれない。

 まぁ、だからって、あの婚約破棄は許せないけどね。
 円満に婚約解消すれば良い話だったんだから。

「お姉様っ」

「はい、なんでしょうか?」

「お姉様は他にどなたかお好きな方がいたりするのですか?」

 は?好きな人?今そんな話してたっけ?
好きな人、好きな人・・・

「いませんが?」

 うゔっ。29年も生きてて、彼氏にフラれて仕事に生きてたお姉さんに、なんて事を聞くのよ。

 こんな時、アニエスなら「殿下をお慕いしてますわ」とか言うのかな。
 ごめんね、アニエス。私は、あの婚約者様のことは好きにならないわ。

 私を切り捨てることが分かってる相手のことを、好きになったりしない。

 本当にごめん。アニエス。
貴女はフラれたら死にたくなるほど、あの婚約者様のこと好きだったのに。

「いない・・・のですか。お兄様の馬鹿」

「?何か?」

 後半が小声すぎて聞こえなかったわ。
それに、そんなにガッカリしないでよ。あと3年もしたら、ヒロインが現れるから。

 貴女のお兄様はね、ヒロインのことを好きになるんだよ。彼女は平民だけど聖女だから、きっと王太子妃になれる。貴女の本当のお姉様になってくれる。

「お姉様。今日のお昼はお母様とご一緒しませんか?」

「王妃様と?それは・・・」

「ね?そうしましょう。お兄様のことをお話しなくては」

 何やらぶつぶつと呟きながら、ローラ様はベルで侍女を呼び、ランチを一緒にしたいと王妃様に伝えるように言っている。

 えー。聞いといて決定事項なの?
マナーとかは大丈夫だと思うけど、もしどこかで失敗したらどうしよう。

 ん?もしかして、王太子妃に向かないとか思ってくれたりするかな。
 んー。無理かなぁ。絶対、教育が厳しくなるヤツだ、きっと。

 そんな緊張の中、ご飯食べても美味しくない。やだなぁ。

 
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