27 / 128
悪役令嬢回避編
心まで美しい人《マリア視点》
しおりを挟む
「何をなさっているのですか」
そう言って、私とご令嬢方の間に立って下さった方。
腰まで伸びた青みを帯びた銀色の髪をハーフアップにされたご令嬢は「アニエス様」と呼ばれていました。
アニエス・リリウム様。
後で、ご丁寧にご挨拶してくださり、公爵家のご令嬢だということがわかりました。
しかも、王太子殿下の婚約者様だそうです。
私は、平民で、少し貧しい家庭で育ちました。
平民には魔力持ちなどいません。ですから私も、15歳になったら平民の通う学校に2年間通う予定でした。
なのに、ある日突然、ひどい熱を出して医師に診てもらいに診療所に行ったとき、訪れていた神官の方が、これは魔力を持っているのではと言い出されたのです。
平民の、魔力を持たない私たちには分からないことですが、どうやら魔力を持たれている貴族の方々は、生まれて間もない時に必ず僅かな熱を出されるのだそうです。
それが、この年齢になって魔力を持ったせいで、高熱になったのではないかとおっしゃるのです。
その後、教皇様と呼ばれる、とても偉い方に私は聖の魔力持ち、聖女だと認定され、13歳から通わなければならない魔法学園に通うようにと言われました。
その学園に通うのは当然、皆さん貴族の方です。
突然、そんな中に放り込まれることになり、不安でいっぱいだった私は、正門を越えたあとに、数人のご令嬢に手を掴まれ、裏庭と思しき場所へと連れてこられました。
突然魔力が生まれたことを責められても、私だって望んで魔力持ちになったわけではありません。
そう思っていたのが表情に出ていたのか、ご令嬢に頬を叩かれたのです。
その時に、私を助けて下さったのが、アニエス様です。
その後、とても辛辣な物言いをなさるご令息様や、アニエス様の弟様、それから王太子殿下まで現れて、私の頭の中はパンクしそうでした。
私を医務室まで連れて行くとおっしゃって下さるアニエス様に、王太子殿下がデートのお約束をなさっていて、アニエス様のことをとてもお好きなんだということが分かります。
それは当然のことだと思います。
だって、振り返られたアニエス様は、絵の中で見るどのお姫様よりお美しくて、しかも平民である私にまで優しくしてくださる、心まで美しい方なのです。
しかも、お友達になってくださると言った時のアニエス様は、それまで王太子殿下のことを王子様と呼んだ私を嗜められていた時と違って、なんていうか守ってあげたくなる感じで・・・
本当に図々しいことですけど、私は頷いてしまったのです。
しかも、アニエス様とお呼びすることになってしまいました。
了承した私にアニエス様は、とても美しい花笑みを浮かべて下さったのです。
私は初めて、聖女になれて良かったと思えました。だって、こんなに素敵な方と出会うことができたのですから。
そう言って、私とご令嬢方の間に立って下さった方。
腰まで伸びた青みを帯びた銀色の髪をハーフアップにされたご令嬢は「アニエス様」と呼ばれていました。
アニエス・リリウム様。
後で、ご丁寧にご挨拶してくださり、公爵家のご令嬢だということがわかりました。
しかも、王太子殿下の婚約者様だそうです。
私は、平民で、少し貧しい家庭で育ちました。
平民には魔力持ちなどいません。ですから私も、15歳になったら平民の通う学校に2年間通う予定でした。
なのに、ある日突然、ひどい熱を出して医師に診てもらいに診療所に行ったとき、訪れていた神官の方が、これは魔力を持っているのではと言い出されたのです。
平民の、魔力を持たない私たちには分からないことですが、どうやら魔力を持たれている貴族の方々は、生まれて間もない時に必ず僅かな熱を出されるのだそうです。
それが、この年齢になって魔力を持ったせいで、高熱になったのではないかとおっしゃるのです。
その後、教皇様と呼ばれる、とても偉い方に私は聖の魔力持ち、聖女だと認定され、13歳から通わなければならない魔法学園に通うようにと言われました。
その学園に通うのは当然、皆さん貴族の方です。
突然、そんな中に放り込まれることになり、不安でいっぱいだった私は、正門を越えたあとに、数人のご令嬢に手を掴まれ、裏庭と思しき場所へと連れてこられました。
突然魔力が生まれたことを責められても、私だって望んで魔力持ちになったわけではありません。
そう思っていたのが表情に出ていたのか、ご令嬢に頬を叩かれたのです。
その時に、私を助けて下さったのが、アニエス様です。
その後、とても辛辣な物言いをなさるご令息様や、アニエス様の弟様、それから王太子殿下まで現れて、私の頭の中はパンクしそうでした。
私を医務室まで連れて行くとおっしゃって下さるアニエス様に、王太子殿下がデートのお約束をなさっていて、アニエス様のことをとてもお好きなんだということが分かります。
それは当然のことだと思います。
だって、振り返られたアニエス様は、絵の中で見るどのお姫様よりお美しくて、しかも平民である私にまで優しくしてくださる、心まで美しい方なのです。
しかも、お友達になってくださると言った時のアニエス様は、それまで王太子殿下のことを王子様と呼んだ私を嗜められていた時と違って、なんていうか守ってあげたくなる感じで・・・
本当に図々しいことですけど、私は頷いてしまったのです。
しかも、アニエス様とお呼びすることになってしまいました。
了承した私にアニエス様は、とても美しい花笑みを浮かべて下さったのです。
私は初めて、聖女になれて良かったと思えました。だって、こんなに素敵な方と出会うことができたのですから。
468
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました
チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。
王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。
エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。
だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。
そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。
夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。
一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。
知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。
経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
この婚約は白い結婚に繋がっていたはずですが? 〜深窓の令嬢は赤獅子騎士団長に溺愛される〜
氷雨そら
恋愛
婚約相手のいない婚約式。
通常であれば、この上なく惨めであろうその場所に、辺境伯令嬢ルナシェは、美しいベールをなびかせて、毅然とした姿で立っていた。
ベールから、こぼれ落ちるような髪は白銀にも見える。プラチナブロンドが、日差しに輝いて神々しい。
さすがは、白薔薇姫との呼び名高い辺境伯令嬢だという周囲の感嘆。
けれど、ルナシェの内心は、実はそれどころではなかった。
(まさかのやり直し……?)
先ほど確かに、ルナシェは断頭台に露と消えたのだ。しかし、この場所は確かに、あの日経験した、たった一人の婚約式だった。
ルナシェは、人生を変えるため、婚約式に現れなかった婚約者に、婚約破棄を告げるため、激戦の地へと足を向けるのだった。
小説家になろう様にも投稿しています。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる