「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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悪役令嬢回避編

「私」の気持ち

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 殿下との約束の日。
埋め合わせなんてどこに行くんだろうと思ってたら、街歩きだった。

 街をウロウロできるのは、嬉しい。
殿下と2人きりなんて、と思ってたけど、思っていたより何倍も楽しかった。

 私は、公爵令嬢アニエス・リリウムだから、平民や下位貴族のように街をブラブラ歩き回ることなんて許してもらえない。
 それは、王太子殿下であるマリウス殿下も同じだろう。

 今日だって、少し離れた位置に、護衛が付いている。

 マリウス殿下付きの専属護衛騎士が数名。
それから、カイも付いて来てくれている。

 カイは、学園内に入れないけど、それ以外の時はいつも私の側にいてくれる。

 王宮内にも普通なら入れないんだけど、殿下が陛下に許可を取ってくれた。
 私が王妃教育を受けている間は、殿下の護衛騎士と剣を交えたりしてるらしい。

 そこのところは、本当に殿下には感謝しかない。
 もちろん、ラノベの舞台は学園だから、もし私が断罪されるとしてもカイに助けてもらうことは出来ない。

 だけど、目の前にいる殿下やクランは、ラノベで知っている殿下やクランとは、違う。

 殿下がマリアに惹かれても、今の殿下なら円満に婚約解消してくれるのではないかと、思う。

 まだまだ、話は序盤くらいだろうけど、それでもマリアと出会った以降は、殿下が私と出かけるなんてなかった。

 マリウス殿下のことを「特別な好き」だとは思えない。

 アニエスが、嫌われたら死にたいと思ったマリウス・ハイドランジア王太子殿下。

 私がラノベで読んだのより、ずっとずっと優しいし、何か時々、黒いオーラが出てたりするけど、それでもラノベの中の彼よりも何倍も好感は持てた。

 だけど、やっぱりからしたら、マリウス殿下は子供で・・・
 いや、今の私はアニエスだから見た目はつり合うんだけど、気持ち的にどうしても恋愛対象として見れない。

 良い子なのはわかってるし、嫌いなわけじゃないんだけど。
 甘い言葉を言われても、こうなんて言うか、微笑ましい気がしちゃうのよね。

 だから、殿下がマリアに惹かれて、私と婚約解消してくれるのは、別に辛くもないし、構わない。

 だけど、王太子殿下から婚約解消された令嬢なんて、やっぱり醜聞だろうし、いくら私に甘いお父様とお母様といえど、そのまま王都に私を置いてはおけないだろう。

 新たな婚約者だって、見つからないだろうしね。

 だから、そうなった時に、出来ることならカイに一緒に付いて来て貰えたら、と思う。

 もちろん、カイに誰か好きな人がいて、その人と結婚したいなら諦めるけど、もしその時に誰もそういう相手がいないなら、私と一緒に領地に行ってくれないかな。

 そしたら私、今私と仲良くしてくれるみんなと離れて会えなくなっても、寂しくないと思うんだ。





 
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