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悪役令嬢回避編
まるで片想いみたいに《マリア視点》
離れた位置から、祈ることしか出来ない。
そう思っていた私の目の前に、真っ白なハンカチが差し出された。
びっくりして見上げると、そこには執事服に身を包んだ、黒髪黒目の男の人が立っていた。
「あ、あの・・・」
「どうぞ、お使いください」
改めて差し出されたハンカチを受け取ったけど、もしかして公爵家の使用人の方なのかもしれない。
こんなところでみっともなく泣いていたりしたから、気になって出てこられたのかも。
「あの、ありがとうございます」
「お嬢様のお見舞いにみえて下さったのでしょう?どうぞ、お入りください」
「え?いえっ、私は平民で・・・」
「でも、お嬢様のご学友だと伺いましたが?」
遠慮しようとした私の背中に手を添えて、執事さん?はさっさと公爵家の方へと進んで行く。
どうしよう。本当にお邪魔してもいいのかしら?
でも、ひと目でもいい。アニエス様のお姿が見たい。
まだお目覚めになっていないと聞いているけど、私の聖女の力で、お助けできないかしら。
「あっ、あの、本当にお邪魔してもいいんですか?」
「ええ。どうぞ」
案内されて初めて足を踏み入れたお屋敷は、とても広くて、豪華で、やっぱりアニエス様は私とは違う世界の、高位の貴族のご令嬢なんだなって、改めて思い知らされた。
案内された部屋は、アニエス様のお部屋だそうで、日当たりの良いその部屋の窓際にベッドが置かれていた。
部屋に溢れんばかりに飾られた花。
風に揺れる青いカーテン。天蓋付きのベッドは、物語の中みたいで、そこに眠るアニエス様は、眠りについたお姫様そのものだった。
だって王子様が、本物の王子様がお姫様の手を取って、ずっと隣に座っているんだもの。
「王太子・・・殿下」
「ああ、マリア嬢か」
王太子殿下、顔色が悪い。学園に通いながら、アニエス様のところへも通われているのね。
殿下が座られてるのに、立って見下ろす形になるのは良くないと判断して、殿下の向かい側の椅子に腰を下ろす。
目の前の殿下は、私と目を合わせるでもなく、ずっとアニエス様を見つめている。
どうして、この方に惹かれたと思ってしまったのか。
私は・・・
アニエス様のようになりたかった、だけなんだって気付いた。
アニエス様のように、誰からも愛されて、誰よりも愛せる人になりたかった。
高位貴族でなくてもいいけど、今みたいに生活に困窮したり、公爵家を訪れるのに引け目を感じることのない、そんな存在になりたかった。
アニエス様のようになりたかったから、そしてあんな風に異性に何か贈られるなんて、お父さん以外になかったから、だから、片想いみたいに勘違いしたんだわ。
そう思っていた私の目の前に、真っ白なハンカチが差し出された。
びっくりして見上げると、そこには執事服に身を包んだ、黒髪黒目の男の人が立っていた。
「あ、あの・・・」
「どうぞ、お使いください」
改めて差し出されたハンカチを受け取ったけど、もしかして公爵家の使用人の方なのかもしれない。
こんなところでみっともなく泣いていたりしたから、気になって出てこられたのかも。
「あの、ありがとうございます」
「お嬢様のお見舞いにみえて下さったのでしょう?どうぞ、お入りください」
「え?いえっ、私は平民で・・・」
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「ええ。どうぞ」
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だって王子様が、本物の王子様がお姫様の手を取って、ずっと隣に座っているんだもの。
「王太子・・・殿下」
「ああ、マリア嬢か」
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殿下が座られてるのに、立って見下ろす形になるのは良くないと判断して、殿下の向かい側の椅子に腰を下ろす。
目の前の殿下は、私と目を合わせるでもなく、ずっとアニエス様を見つめている。
どうして、この方に惹かれたと思ってしまったのか。
私は・・・
アニエス様のようになりたかった、だけなんだって気付いた。
アニエス様のように、誰からも愛されて、誰よりも愛せる人になりたかった。
高位貴族でなくてもいいけど、今みたいに生活に困窮したり、公爵家を訪れるのに引け目を感じることのない、そんな存在になりたかった。
アニエス様のようになりたかったから、そしてあんな風に異性に何か贈られるなんて、お父さん以外になかったから、だから、片想いみたいに勘違いしたんだわ。
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