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聖女覚醒編
たとえヒロインでなくても
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「珍しい。マリア、お休みなのね」
登校して、授業が始まる時間になっても、マリアがやって来なかった。
今まで1日も休んだことないのに。
マリアは、成績優秀で授業料免除されていることを物凄く有難がっていて、だから絶対に休もうとしなかった。
もちろん、熱が出て、どうしても来れない時だってあるだろう。
季節の変わり目だし、体調崩しちゃったのかな。
マリアが登校した時のために、私はいつもより念入りにノートを取った。
そして翌日ー
私とマリ様は理事長より呼び出しを受けた。
「え?マリアが昨日から家に帰っていない?」
え?どういうこと?
だって、昨日マリアはお休みしていて・・・帰っていないって、なに?
マリアは責任感の強い子だ。
決して楽な生活じゃないだろうけど、家族を捨てて家出するような子じゃない。
だけど、誘拐?
マリアは平民だ。身代金なんて取れるあてがあるわけない。
まさか、聖女だから?
聖女の価値は高い。王家や教会に対して身代金なんて請求できないだろうけど、他国へ売り渡すことはできる。
それに、マリアは可愛い。
まだ14歳だけど、そういう不埒な考えを持つ者がいないとは限らない。
視界がぐらりと揺らいだ。
「アニエスっ!」
「・・・すみません。大丈夫です」
「大丈夫じゃないだろう。顔が真っ青だ」
「本当に・・・殿下。お気になさらずに。それよりも、何か情報は掴めているのですか?」
ここで部屋から出されてしまうわけにはいかない。
早く情報を集めて、マリアを助けないと。
握りしめた手に、爪がくい込む。
昨日・・・お見舞いにでも行っていれば。
マリアは、平民だ。
そしてあまり裕福ではないらしい。そのせいか、私にどこで暮らしているのか教えてはくれなかった。
私も、マリアの家に、いかにも貴族の令嬢然とした私が訪れて、近所の人にやっかまれてもマリアの家の負担になると思って、聞こうとしなかった。
だけど。
私自身が行けなくても、侍女にでもカイにでも頼めたのに。
マリアから教えてもらえなくても、私がそれを調べることくらいできたのに。
私が。
私が、マリアはマリアだから平民でも関係ないなんて言いながら、マリアの負担になりたくないなんて言いながら、結局、大人の対応を取れていなかったんだ。
前世がアラサーなんて言ってても、社会人として働いていたとしても、私は結局、みんなに甘やかされた、公爵令嬢としてのぬるま湯の生活に溺れていて、キチンとマリアの友人として向き合っていなかったんだ。
マリアは、乙女ゲームのヒロインだとか、そんなことは関係ない。
マリアは私の大切な友達なのに。
登校して、授業が始まる時間になっても、マリアがやって来なかった。
今まで1日も休んだことないのに。
マリアは、成績優秀で授業料免除されていることを物凄く有難がっていて、だから絶対に休もうとしなかった。
もちろん、熱が出て、どうしても来れない時だってあるだろう。
季節の変わり目だし、体調崩しちゃったのかな。
マリアが登校した時のために、私はいつもより念入りにノートを取った。
そして翌日ー
私とマリ様は理事長より呼び出しを受けた。
「え?マリアが昨日から家に帰っていない?」
え?どういうこと?
だって、昨日マリアはお休みしていて・・・帰っていないって、なに?
マリアは責任感の強い子だ。
決して楽な生活じゃないだろうけど、家族を捨てて家出するような子じゃない。
だけど、誘拐?
マリアは平民だ。身代金なんて取れるあてがあるわけない。
まさか、聖女だから?
聖女の価値は高い。王家や教会に対して身代金なんて請求できないだろうけど、他国へ売り渡すことはできる。
それに、マリアは可愛い。
まだ14歳だけど、そういう不埒な考えを持つ者がいないとは限らない。
視界がぐらりと揺らいだ。
「アニエスっ!」
「・・・すみません。大丈夫です」
「大丈夫じゃないだろう。顔が真っ青だ」
「本当に・・・殿下。お気になさらずに。それよりも、何か情報は掴めているのですか?」
ここで部屋から出されてしまうわけにはいかない。
早く情報を集めて、マリアを助けないと。
握りしめた手に、爪がくい込む。
昨日・・・お見舞いにでも行っていれば。
マリアは、平民だ。
そしてあまり裕福ではないらしい。そのせいか、私にどこで暮らしているのか教えてはくれなかった。
私も、マリアの家に、いかにも貴族の令嬢然とした私が訪れて、近所の人にやっかまれてもマリアの家の負担になると思って、聞こうとしなかった。
だけど。
私自身が行けなくても、侍女にでもカイにでも頼めたのに。
マリアから教えてもらえなくても、私がそれを調べることくらいできたのに。
私が。
私が、マリアはマリアだから平民でも関係ないなんて言いながら、マリアの負担になりたくないなんて言いながら、結局、大人の対応を取れていなかったんだ。
前世がアラサーなんて言ってても、社会人として働いていたとしても、私は結局、みんなに甘やかされた、公爵令嬢としてのぬるま湯の生活に溺れていて、キチンとマリアの友人として向き合っていなかったんだ。
マリアは、乙女ゲームのヒロインだとか、そんなことは関係ない。
マリアは私の大切な友達なのに。
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