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聖女覚醒編
婚約者の可愛い我儘《マリウス視点》
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顔を赤らめながら俯くアニエスに、やっと聞きたい言葉が聞けたと、ホッとする。
アニエスが、あの目にも当てられない男爵令嬢の相手をしていた理由。
それはもちろん、筆頭公爵家の娘で、この学園内で2番目に地位が高いということがある。
そして、絡まれていたマリア嬢のことを大切な友人だと思っているということも。
だけど、その理由の中に、僕を他の令嬢に近づけたくないという嫉妬が混じっていて欲しい。
そんな僕の我儘から、アニエスを問い詰めるという形になってしまった。
そして、望み通りの答えが聞けた時、僕は安堵からアニエスをぎゅっと抱きしめる。
アニエスを危険に晒したくない。
それは間違いなく、僕の本心だ。
でも、彼女は大人しくカゴの中におさまっている小鳥ではない。
自由に空を飛び回るからこそ、彼女は魅力的で愛らしいのだ。
羽をもいではいけない。
この美しい蝶は、虫かごの中に入れてしまえば、いつか弱って死んでしまうのだから。
「マリ様?」
「次からは僕をもっと頼って下さい。まぁ、あの男爵令嬢はおそらくレイノルドがどうにかするでしょうけど」
「ノックス様が?」
何故?という、キョトンとした顔も可愛い。
他のみんなに見せる、公爵令嬢然とした表情じゃない。
僕や家族、マリア嬢の前のアイリスは表情豊かで可愛らしい。
「あのファレノプシス伯爵令嬢が全てのレイノルドが、彼女の許可なく愛称で呼んだ相手を許すわけがない。完膚なきまでに潰すだろうね」
「・・・イザベラ様も、守られるだけの方ではありませんけど」
「そうなのかい?レイノルドのガードが固いから、ファレノプシス伯爵令嬢のことはよく知らないんだ」
アニエスの呟きに、僕は驚いてそう尋ねた。
あの、レイノルドが女神のように奉っているから、庇護欲をそそるタイプなのかと思っていた。
いや。そういえば、タラクサカム伯爵令嬢も大人しそうな小動物のようななりでいて、ニコラスの頭を押さえつけていたのだった。
目の前の公爵令嬢だって、女神のように美しいのに、無茶ばかりする人だったな。
「イザベラ様は、そうですね、女神ニケ様のようなお方ですわ」
「勝利の女神か。意外だな。いや、意外でもないのか?レイノルドが守られるだけのご令嬢にあそこまで執心するわけもないか」
どちらにせよ、レイノルドの好みはレイノルドにしかわからない。
だが、あのレイノルドが、最愛の彼女以外に愛称呼びをされたことを許すわけがない。
アニエスが、あの令嬢に関わることもないだろう。
僕はこの時、そう思っていた。
アニエスが、あの目にも当てられない男爵令嬢の相手をしていた理由。
それはもちろん、筆頭公爵家の娘で、この学園内で2番目に地位が高いということがある。
そして、絡まれていたマリア嬢のことを大切な友人だと思っているということも。
だけど、その理由の中に、僕を他の令嬢に近づけたくないという嫉妬が混じっていて欲しい。
そんな僕の我儘から、アニエスを問い詰めるという形になってしまった。
そして、望み通りの答えが聞けた時、僕は安堵からアニエスをぎゅっと抱きしめる。
アニエスを危険に晒したくない。
それは間違いなく、僕の本心だ。
でも、彼女は大人しくカゴの中におさまっている小鳥ではない。
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羽をもいではいけない。
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「・・・イザベラ様も、守られるだけの方ではありませんけど」
「そうなのかい?レイノルドのガードが固いから、ファレノプシス伯爵令嬢のことはよく知らないんだ」
アニエスの呟きに、僕は驚いてそう尋ねた。
あの、レイノルドが女神のように奉っているから、庇護欲をそそるタイプなのかと思っていた。
いや。そういえば、タラクサカム伯爵令嬢も大人しそうな小動物のようななりでいて、ニコラスの頭を押さえつけていたのだった。
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「勝利の女神か。意外だな。いや、意外でもないのか?レイノルドが守られるだけのご令嬢にあそこまで執心するわけもないか」
どちらにせよ、レイノルドの好みはレイノルドにしかわからない。
だが、あのレイノルドが、最愛の彼女以外に愛称呼びをされたことを許すわけがない。
アニエスが、あの令嬢に関わることもないだろう。
僕はこの時、そう思っていた。
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