「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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聖女覚醒編

救出

「マリア!」

 カイの腕に抱かれたマリアに、ホッと息を吐く。
 意識を失っているみたいだけど、怪我はなさそう。

「カイも、怪我は・・・どうしたの?その手。血が・・・」

「心配いりません。血もすでに止まっています。ですが、お見苦しいので、すぐに着替えて参ります。王太子殿下。詳細は後に報告が届きます。それまで、少々お待ち下さい」

「ああ。僕たちも少し休ませて貰おう。どちらにせよ、マリア嬢が目覚めてからになる」

 マリウスがそう言って、レイモンドたちと頷きあっている。
 カイは、戻ってくる途中に、マリウスたちと合流して、マリア救出を知らせたそうだ。

 私は使用人に命じて、殿下たちを別の客室へと案内する様に伝えた。
 ずっとマリアを探してくれていたのだ。本当に少し休んでもらった方がいいだろう。

「マリ様。王宮へ戻らなくても大丈夫ですか?」

「ああ。伝令は飛ばしてあるからね。アニエスも少し休むといい。できれば一緒に、と言いたいところだけど、僕は今、汗くさいから、残念だ」

 おどけたように言うマリウスは、多分私を気遣ってくれているのだろう。

 私はそのまま、マリウスにぎゅっと抱きついた。

「アニエス?」

 マリウスから抱きしめられることはあっても、私からマリウスに抱きつくようなことはない。

 それは、淑女教育の賜物であり、また私の気持ち的に、恥ずかしいというのがあるということでもある。

 だけど。
王太子である彼が、汗をかいてまで、自分の足でマリアを探してくれた。

 マリアがヒロインだからとか、今はもう思ったりしない。
 マリウスは、私が望んだから自分たちで探してくれたのだ。

 それが、嬉しかった。
実際に見つけてきたのがカイだったとしても、ううん。むしろマリウスに怪我がなくて良かった。

「アニエス。大丈夫だよ。マリア嬢はすぐ目覚めるよ」

「はい。マリ様、ありがとうございます」

「うん。そろそろ離れてくれないと、僕も我慢がね・・・」

 我慢?ああ、我慢ね。
あの告白のあと、マリウスは私に口付けしたけど、あれ以来、額や頬にキスはしても、口付けをすることはなかった。

 マリウスなりに、思うところがあるらしい。
誰だって好きな人といれば、触れたくなるものだろう。

 ましてや私たちは婚約者である。
だけど、王太子であるからこそ、結婚までは清い関係でいなければならない。

 だが、マリウスはまだ14歳とはいえ、健全な男の子である。

「アニエス?」

 私は背伸びをすると、そっとマリウスのソレに自分の唇を合わせた。

 私のことを心から考えてくれて、私のために動いてくれようとする彼のことが、愛しい。

 心からそう思った瞬間だったー





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