「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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聖女覚醒編

黒幕は

 マリアが目覚める、ほんの少し前に、来客があった。

 どうやら、今回の救出に関する協力者らしい。

「お嬢様。今回の聖女様誘拐の実行犯、及びそれを指示した者の件、こちらに」

 封筒に入れられた書類を、カイから差し出される。

「これを届けてくれた方は?」

「私の昔馴染みです。気のいいやつなのですが、丁寧な言葉遣いなどできないものですから」

「お礼を言いたかったのに」

「私の方から礼は尽くしておきます。お嬢様のお心遣い、感謝いたします」

 私は、私が使用人にする前のカイが、どんな生活をして、どんな人と一緒に過ごしていたのかは知らない。

 公爵家の使用人として働きながら、カイはその人たちと交流を続けていたということなのだろう。

 私は、私の都合でカイを、彼らから引き離して私の侍従にしてしまった。
 だから、別に交流してたからと言ってどうこういうつもりもないし、むしろ会ってみたかったくらいだ。

 書類を取り出して、目を通す。
ひと通り見てから、そのままマリ様へと手渡した。

 マリ様と、レイモンドたちの眉間に皺が寄っている。
 それはそうだろう。
実行犯は平民の破落戸だったみたいだけど、彼らに依頼した人間が問題だ。

 そこに書かれた名前は、チェリー・ベラドンナ。
 そう。あの、チェリー嬢だったのだ。
確かに彼女は今は男爵令嬢。平民であるマリアよりは身分が上だ。

 だけど、仮にも教皇様が聖女と認定し、公爵令嬢である私の友人であるマリアに手を出すということがどういうことか、彼女には理解出来ていないようだ。

「実行犯は?」

「私の友人が拘束しています。ご指示があれば、いつでも引き渡せます」

「よし。では、父上にご報告の上で始末をつけよう。レイモンドたちも準備を」

「「はい」」

 彼女が、何を目的でマリアを害しようとしたのかは、どうでもいい。
 目的は、おそらくはマリウスをはじめとする攻略対象者だと思う。

 自分を乙女ゲームのヒロインだと思っているから、その立ち位置にいるマリアを邪魔だと思ったに違いない。

 勘違いも甚だしい。
断罪を恐れて、マリウスの気持ちを受け入れようとしなかった私が言うのもアレだけど。

 大体、『青の箱庭』のヒロインは、正統派。決して、誰かを貶めたりすることのない、健気で頑張り屋のキャラだ。

 それなのに、あの成績でどうして自分がそうだと思えるんだろうか。

 まぁ、いい。
もしも本当に彼女がヒロインだったとしても、私の大切な友人に手出ししたことは、絶対に許せない。

 彼女がヒロインだというのならー
私は悪役令嬢として、きっちりとざまあをしてあげようじゃない。



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