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聖女覚醒編
処罰
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「ここは乙女ゲームの世界ではないの。わかるかしら?ヒロインもどきさん」
私の言葉に、チェリーは目を見開いた。
『乙女ゲーム』『ヒロインもどき』という言葉。それは、私が転生者だと分かる言葉だ。
「マリアは正真正銘『青の箱庭』のヒロインよ。でもね、彼女は誰も攻略なんかしてない。その理由が分かる?ここが乙女ゲームの世界なんかではないからよ」
「何を・・・だって、マリ様だって、レイ様だっていて・・・」
「だけど、彼らには婚約者がいるわ。現世でも皇太子殿下に婚約者が出来たわよね?その相手がいながら、他の女性と皇太子殿下がお付き合いしたりしたら、問題になるわよね?」
「・・・」
倫理観の問題だけではないのだ。
貴族の婚約は家と家の契約。個人の感情だけでどうこうできるものではない。
それをやったから、ラノベの中のマリウスとヒロインは、最終的に責められて命を落としたのだ。
「あなた・・・あなたのせいでうまくいかないの?私は、私は、ヒロインなのにッ」
「ヒロインは正真正銘マリアよ。あなた、乙女ゲーム版しか知らないのね。ラノベ版でマリアの姿絵が出てるのよ。それに・・・『青の箱庭』のヒロインはね、人を貶めたり絶対しないわ。優しくて健気で頑張り屋で・・・だからこそ、攻略対象たちは彼女に惹かれるんじゃなかった?」
「じゃあ、私は何なの?どうしてこんなことに・・・」
私にも、どうしてチェリーがこの世界に転生したのかはわからない。
ヒロインによく似た容姿で転生してくれば、勘違いする気持ちもわからないわけでもない。
だけど、彼女はやりすぎた。
犯罪行為に手を染めたチェリーを、何もなかったことにしてやることは出来ない。
「アニエス、もういいかい?」
後ろからマリウスが抱きしめてくる。
少し彼女と話がしたいと言った私の我儘を、マリウスは叶えてくれた。
私は、チェリーを救ってやることは出来ない。
彼女にはこれから、辛い現実が待っている。
だけど、できることなら、誠心誠意それに向き合い、生きていってもらいたいと思う。
決して好きにはなれなかったけれど、この世界で初めて会った『同郷』の人間なのだから。
「ええ。マリ様、ありがとうございます」
「チェリー・ベラドンナ。君の処罰は僕に一任された。よって、ハイドランジア王国王太子マリウスが言い渡す。貴族籍剥奪の上、北の修道院行きとする」
北の修道院とは、規律の厳しいことで有名な修道院だ。
一度入ると、一生出ることは叶わず、自由もほとんどないと聞く。
だが、処刑されずには済んだのだ。
チェリーの、騎士に連れて行かれる背中を見つめながら、私は小さく息を吐いた。
ごめんね、助けてあげられなくて。
私の言葉に、チェリーは目を見開いた。
『乙女ゲーム』『ヒロインもどき』という言葉。それは、私が転生者だと分かる言葉だ。
「マリアは正真正銘『青の箱庭』のヒロインよ。でもね、彼女は誰も攻略なんかしてない。その理由が分かる?ここが乙女ゲームの世界なんかではないからよ」
「何を・・・だって、マリ様だって、レイ様だっていて・・・」
「だけど、彼らには婚約者がいるわ。現世でも皇太子殿下に婚約者が出来たわよね?その相手がいながら、他の女性と皇太子殿下がお付き合いしたりしたら、問題になるわよね?」
「・・・」
倫理観の問題だけではないのだ。
貴族の婚約は家と家の契約。個人の感情だけでどうこうできるものではない。
それをやったから、ラノベの中のマリウスとヒロインは、最終的に責められて命を落としたのだ。
「あなた・・・あなたのせいでうまくいかないの?私は、私は、ヒロインなのにッ」
「ヒロインは正真正銘マリアよ。あなた、乙女ゲーム版しか知らないのね。ラノベ版でマリアの姿絵が出てるのよ。それに・・・『青の箱庭』のヒロインはね、人を貶めたり絶対しないわ。優しくて健気で頑張り屋で・・・だからこそ、攻略対象たちは彼女に惹かれるんじゃなかった?」
「じゃあ、私は何なの?どうしてこんなことに・・・」
私にも、どうしてチェリーがこの世界に転生したのかはわからない。
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だけど、彼女はやりすぎた。
犯罪行為に手を染めたチェリーを、何もなかったことにしてやることは出来ない。
「アニエス、もういいかい?」
後ろからマリウスが抱きしめてくる。
少し彼女と話がしたいと言った私の我儘を、マリウスは叶えてくれた。
私は、チェリーを救ってやることは出来ない。
彼女にはこれから、辛い現実が待っている。
だけど、できることなら、誠心誠意それに向き合い、生きていってもらいたいと思う。
決して好きにはなれなかったけれど、この世界で初めて会った『同郷』の人間なのだから。
「ええ。マリ様、ありがとうございます」
「チェリー・ベラドンナ。君の処罰は僕に一任された。よって、ハイドランジア王国王太子マリウスが言い渡す。貴族籍剥奪の上、北の修道院行きとする」
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一度入ると、一生出ることは叶わず、自由もほとんどないと聞く。
だが、処刑されずには済んだのだ。
チェリーの、騎士に連れて行かれる背中を見つめながら、私は小さく息を吐いた。
ごめんね、助けてあげられなくて。
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