転生ガチャで悪役令嬢になりました

みおな

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砂糖吐きそうです

「ぅ・・・」

「ルミィ?ルミナス、ほら、言って?」

 分かってる。
頭では、分かっているのだ。

 この美貌の王太子殿下は、言い出したら絶対に引いてくれない。
 つまりは、いくら渋っても言わないことには終わらないし、長引けば長引くほど、私の精神はゴリゴリと削られていくだけだって。

 だけど。

 そのお綺麗な顔で、覗き込まれた時、私の精神は崩壊した。

「ふっ・・・っ、うわーん!」

 突然、幼子のように大泣きを始めた私に、クリストフ王太子殿下は目に見えて慌て出した。

「る、ルミィ?泣かないで」

 えぐえぐと子供のようにしゃくりあげる私を優しく撫でながら、殿下は私をすっぽりと腕の中に閉じ込めた。

「どうしたの?ルミナス。こうされるの嫌い?それとも僕のことが嫌い?」

「きらいぃぃ」

「ルミナス。僕の愛しいルミィ」

 殿下は、私の頬を撫でながら、甘く囁き続ける。

 甘い。あまりにも甘すぎる。
蜜糖のように私を甘やかす殿下に、砂糖を吐きそうだ。

 涙で霞む瞳で、殿下を見上げ、その鍛えられた胸元にギュッと縋り付く。

「ルミナス?」

「いじわる、きらい」

「ごめんね?ルミナスの特別になりたくて。ルミナスが呼べるようになるまで我慢するから、もう泣かないで?」

 甘い。甘すぎる。
前世でも、現世でも、こんなに甘やかされたことはない。

 いや。今世のお父様もお母様も、とても優しくて、甘やかしてくれるけど、王太子殿下の甘さは異常だ。

 私は、でろでろに甘やかされている。
優しくされるのは、好きだ。親にもそうだけど、恋人には優しくして欲しいと思う。

 そう。
王太子殿下のそれは、婚約者相手というより、恋人に対する甘さ、溺愛なのだ。

 いいのかな、王太子殿下がコレで。
婚約者ということは、未来の王太子妃になるわけで、こんなに甘やかされて私、ダメな子になるんじゃないだろうか。

「ルミィ。そんなことないから。それにもしも、君が駄目な子になっても、僕は君しかいらないんだ」

「・・・」

 この人は、何故か私の考えてることがわかるようで、毎回毎回私の考えを否定した上で、甘い言葉で締めくくる。

「ルミィ。今度、街にお出かけしようか?美味しいケーキ屋さんが出来たって侍女から聞いたから」

「!!行きたいです!!」

「うん。準備しておくね」

 街にお出かけ!!
この世界に転生してから、身分が公爵令嬢というせいで、街歩きなんて行きたいと言えなかった。

 待望の街歩きに、心浮かれていた私は、王太子殿下の「街ではさすがにクリストフと呼ばすことは出来ないからね。ふふっ、楽しみだな」という呟きに気づかなかったのだった。
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