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手に入れたい至宝《クリストフ視点》
ずっと、ずっと欲しかったものがある。
グラディウス王国の第1王子として生まれた僕は、甘やかされたわけではないけど、それなりに欲しいものは与えられてきたと思う。
だけど、心から欲したものは、与えられなかった。
僕が12歳になった年、王妃である母上のお茶会に、コンフェルト公爵夫人に連れられてやってきた、幼いご令嬢に、僕は一目惚れをした。
銀糸のような、サラサラとした髪に、夜空のようなキラキラとした藍色の瞳。
名工が腕によりをかけたような、愛らしくも美しい少女。
それが、ルミナス・コンフェルト嬢だった。
彼女と婚約したい。彼女を僕だけのものにしたい。
だけど、僕のその願いは叶えられなかった。
当時すでに立太子していた僕は、議会からもう少し年齢の近いご令嬢が望ましい、とそう言われたのだ。
王族の結婚には、議会の承認がいる。
しかも、僕の婚約者となると未来の王妃だ。
彼女が優秀ではないというわけではない。
家柄だって申し分ない。
ただ、この先、王太子妃教育、王妃教育をするにあたり、幼すぎると言うのだ。
僕は、父上たちに懇願した。
それならば、ルミナス嬢と同い年の、僕の弟であるラクトウェルに王太子になって貰えばいい。
だから、婚約させて欲しいと。
普段から聞き分けのいい子供だった僕の、はじめての我儘に、父上たちはコンフェルト公爵家に打診を入れてくれた。
あちらの了承が取れれば、議会に口添えしてくれると言って。
だけど、コンフェルト公爵からの返答は、僕を絶望させるものだった。
娘はまだ幼い。
もっと自由に、のびのびと、政略結婚ではなく本当の恋を知ってもらいたいのだ、と。
宰相であり、この国でも王家の次に力のあるコンフェルト公爵の言葉に、父上もこれ以上は僕の我儘を聞けないと言った。
だから僕は、議会の薦める婚約者を受け入れた。
ルミナス嬢でないなら、誰でも良かった。
王太子妃として、王妃として、問題のない相手なら、構わない。
相手を敬い、大切にはする。心から愛することは出来ないかもしれないけど。
王族に生まれた、それが義務だ。
だから、僕は婚約を受け入れた。
婚約者とは、それなりにうまくやっていけていたと思う。
婚約者というよりは、男友達か兄妹のようで、気楽に付き合えていた。
彼女は、僕のルミナス嬢への気持ちも気付いていて、それでも自分を卑下するわけでもなく、王太子妃教育を頑張ってくれていた。
最愛ではないけれど、彼女となら王太子王太子妃として、やっていける。
そう思っていた。
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だけど、心から欲したものは、与えられなかった。
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名工が腕によりをかけたような、愛らしくも美しい少女。
それが、ルミナス・コンフェルト嬢だった。
彼女と婚約したい。彼女を僕だけのものにしたい。
だけど、僕のその願いは叶えられなかった。
当時すでに立太子していた僕は、議会からもう少し年齢の近いご令嬢が望ましい、とそう言われたのだ。
王族の結婚には、議会の承認がいる。
しかも、僕の婚約者となると未来の王妃だ。
彼女が優秀ではないというわけではない。
家柄だって申し分ない。
ただ、この先、王太子妃教育、王妃教育をするにあたり、幼すぎると言うのだ。
僕は、父上たちに懇願した。
それならば、ルミナス嬢と同い年の、僕の弟であるラクトウェルに王太子になって貰えばいい。
だから、婚約させて欲しいと。
普段から聞き分けのいい子供だった僕の、はじめての我儘に、父上たちはコンフェルト公爵家に打診を入れてくれた。
あちらの了承が取れれば、議会に口添えしてくれると言って。
だけど、コンフェルト公爵からの返答は、僕を絶望させるものだった。
娘はまだ幼い。
もっと自由に、のびのびと、政略結婚ではなく本当の恋を知ってもらいたいのだ、と。
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だから僕は、議会の薦める婚約者を受け入れた。
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相手を敬い、大切にはする。心から愛することは出来ないかもしれないけど。
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だから、僕は婚約を受け入れた。
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彼女は、僕のルミナス嬢への気持ちも気付いていて、それでも自分を卑下するわけでもなく、王太子妃教育を頑張ってくれていた。
最愛ではないけれど、彼女となら王太子王太子妃として、やっていける。
そう思っていた。
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