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護衛騎士の憂鬱3《エレン視点》
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ですが、その手は私に届くことはありませんでした。
王太子殿下が私と父との間に、立ち塞がってくださったのです。
「ねぇ、聞きたいんだけど、僕がいつ名前を呼ぶ許可を、侯爵の娘に与えたのかな?」
「それは・・・その・・・」
「それに、私のって聞こえた気がするんだけど?僕はセレズノア侯爵家に婚約を申し込んだ覚えなんか全くないんだけどね」
「クリストフ様、どうしてそんなことをおっしゃるの?その女?その女が何か吹き込んだのね?小汚いドブネズミのくせにッ!」
姉が、殿下の後ろに立つ私を睨みつけます。
私は何もしていないというのに、どうしてこんな目にあわなきゃいけないの?
「殿下。その娘は嘘つきなのです。どうか信じませんように」
「本当に!可愛いエレーヌを貶めようだなんて、なんて娘かしら!貴女なんか私たちの娘じゃないわ!」
「そうよ!いつまでクリストフ様の後ろにいるつもり?こっちにきなさい・・・きゃっ!」
私に掴みかかろうとしたエレーヌは、どこからか現れた騎士の方に、行手を遮られています。
本人は、私に掴みかかろうとしたのでしょうが、私の前には王太子殿下が立たれています。
殿下に危害を加えようとしたとみなされても、仕方ない行為です。
「セレズノア侯爵家の皆さんは、体調が悪くなられたようだ。速やかに退出してもらうように。ああ、それから、侯爵。彼女は今日より僕の専属の侍女になった。だから、彼女に用があるときは僕を通すように」
「は?いや、殿下、一体なにを・・・」
「聞こえなかったの?それとも聞こえていて王太子である僕の言うことに何か文句でも?ちゃんと父上の許可は取ってある。なんなら王命にしようか?」
「い、いえ・・・」
お父様は殿下の発する冷え冷えとした空気に、タジタジです。
母も何も言えないようですが、姉だけは違いました。
「ちょっと待ってよ!そんな子が専属侍女?お父様、何かおっしゃってよ」
姉は喚き散らしていましたが、王太子殿下は黙ったまま片手を振って、騎士の方に父たちを連れて行くように指示されました。
静かになった庭園で、私は呆然とそれを見送るしかできませんでした。
「・・・」
「ええと、とりあえず父上には許可を取っておくから、今日は客間で休むといいよ。明日からは・・・何かしたいことを見つけたら言ってくれれば協力する。学園に通うとあの姉が面倒だろう?卒業までの課題は王宮でやれば良い。学園には話しておくから」
「・・・どうして、そんなにまでして下さるんですか?」
「僕の元婚約者がね、君の話をしていた。もしも叶うのなら、君を助けてあげて欲しいと頼まれた。迷惑だったかな?」
王太子殿下が私と父との間に、立ち塞がってくださったのです。
「ねぇ、聞きたいんだけど、僕がいつ名前を呼ぶ許可を、侯爵の娘に与えたのかな?」
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「クリストフ様、どうしてそんなことをおっしゃるの?その女?その女が何か吹き込んだのね?小汚いドブネズミのくせにッ!」
姉が、殿下の後ろに立つ私を睨みつけます。
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殿下に危害を加えようとしたとみなされても、仕方ない行為です。
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「は?いや、殿下、一体なにを・・・」
「聞こえなかったの?それとも聞こえていて王太子である僕の言うことに何か文句でも?ちゃんと父上の許可は取ってある。なんなら王命にしようか?」
「い、いえ・・・」
お父様は殿下の発する冷え冷えとした空気に、タジタジです。
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「ちょっと待ってよ!そんな子が専属侍女?お父様、何かおっしゃってよ」
姉は喚き散らしていましたが、王太子殿下は黙ったまま片手を振って、騎士の方に父たちを連れて行くように指示されました。
静かになった庭園で、私は呆然とそれを見送るしかできませんでした。
「・・・」
「ええと、とりあえず父上には許可を取っておくから、今日は客間で休むといいよ。明日からは・・・何かしたいことを見つけたら言ってくれれば協力する。学園に通うとあの姉が面倒だろう?卒業までの課題は王宮でやれば良い。学園には話しておくから」
「・・・どうして、そんなにまでして下さるんですか?」
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