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守るのは僕が③《ラクトウェル視点》
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平民の少女と一緒になるから、平民になる。
それを王族が援助するわけにはいかない。
兄上のおっしゃっていることは当然のことだった。
何故なら、僕は王族としての義務を放棄するのだから、権利だけ受け取れるわけがない。
僕は深くそこまで、考えていたわけではなかった。
ただ、チェリーのことが愛しいから、今そばにいたい。ただそれだけだった。
「学園のあいだだけ、とでも思っていたんだろう?だが、その3年で彼女は卒業後の生活をするための基盤を作らなければならないんだ。お前たちと親しくしていることで、他の貴族から睨まれたら、お前はどうするつもりだ?その瞬間は助けることはできるだろう。だが、卒業後は?仕事先が見つからなかったら、お前はどう責任を取るつもりだ?」
「・・・」
兄上の言葉に、僕も、それからジェライトもレビンも俯いた。
確かに僕は、チェリーがいじめられたら守れば良いと思っていた。
王族である僕が気にかけていると知れば、直接的にいじめてくる人間はいないだろう。
だけど、卒業後に別々の道を歩み出したとき、チェリーが望む職に就けなかったら?
貴族の息がかかっていない職なんて、ほとんどない。
別に貴族が経営していなくても、お得意様の貴族に「その子がいるなら、ここでは買わない」と言われたら、平民のチェリーなんか簡単にクビにされてしまうだろう。
そんなこと、考えもしなかった。
いや、考えようともしなかった。だって、チェリーのことが、本当に好きだったから。
「公爵家、しかもコンフェルト公爵家は筆頭公爵家だ。そこの侍女に付いて学び、それなりの教養とマナーを身につければ、コンフェルト公爵家筋の、末端だが男爵か子爵家の養女くらいにはできるだろう。それでも侯爵夫人にはなれないが、伯爵夫人程度になら、なれるかもな」
「え?」
「すべては、お前とその平民の少女次第だ。お前はそこの2人違って、入婿以外に貴族でいる手がないわけではない。王籍臣下するわけだから、馬鹿なことをしない限りは爵位と領地を授かることができる。そこをよく考えろ。まだ3年あるんじゃない。もう3年しかないんだ」
ジェライトとレビンも次男だから、どこかに入婿に入らなければ貴族ではいられない。
僕は王族だから、彼らよりも恵まれた選択を得ることができるだけだ。
「お前自身が何を選ぼうと、お前の自由だ。ただ、その結果は受け入れろ。それから、お前の選択に周囲を巻き込むな。その平民の少女も、彼ら2人もだ。彼らには彼らの人生がある。責任も取れないなら、巻き込むな」
兄上はそう言うと、席を立って部屋を出て行った。
ジェライトとレビンも、この先も貴族でいるつもりなら、そろそろ婚約者を作ることを考えて、ちゃんとした言動をするようにと兄上に言われたそうだ。
婚約者。
兄上は僕にはそれを言わなかった。
その意味を僕は、のちにコンフェルト公爵令嬢から知らされることになる。
それを王族が援助するわけにはいかない。
兄上のおっしゃっていることは当然のことだった。
何故なら、僕は王族としての義務を放棄するのだから、権利だけ受け取れるわけがない。
僕は深くそこまで、考えていたわけではなかった。
ただ、チェリーのことが愛しいから、今そばにいたい。ただそれだけだった。
「学園のあいだだけ、とでも思っていたんだろう?だが、その3年で彼女は卒業後の生活をするための基盤を作らなければならないんだ。お前たちと親しくしていることで、他の貴族から睨まれたら、お前はどうするつもりだ?その瞬間は助けることはできるだろう。だが、卒業後は?仕事先が見つからなかったら、お前はどう責任を取るつもりだ?」
「・・・」
兄上の言葉に、僕も、それからジェライトもレビンも俯いた。
確かに僕は、チェリーがいじめられたら守れば良いと思っていた。
王族である僕が気にかけていると知れば、直接的にいじめてくる人間はいないだろう。
だけど、卒業後に別々の道を歩み出したとき、チェリーが望む職に就けなかったら?
貴族の息がかかっていない職なんて、ほとんどない。
別に貴族が経営していなくても、お得意様の貴族に「その子がいるなら、ここでは買わない」と言われたら、平民のチェリーなんか簡単にクビにされてしまうだろう。
そんなこと、考えもしなかった。
いや、考えようともしなかった。だって、チェリーのことが、本当に好きだったから。
「公爵家、しかもコンフェルト公爵家は筆頭公爵家だ。そこの侍女に付いて学び、それなりの教養とマナーを身につければ、コンフェルト公爵家筋の、末端だが男爵か子爵家の養女くらいにはできるだろう。それでも侯爵夫人にはなれないが、伯爵夫人程度になら、なれるかもな」
「え?」
「すべては、お前とその平民の少女次第だ。お前はそこの2人違って、入婿以外に貴族でいる手がないわけではない。王籍臣下するわけだから、馬鹿なことをしない限りは爵位と領地を授かることができる。そこをよく考えろ。まだ3年あるんじゃない。もう3年しかないんだ」
ジェライトとレビンも次男だから、どこかに入婿に入らなければ貴族ではいられない。
僕は王族だから、彼らよりも恵まれた選択を得ることができるだけだ。
「お前自身が何を選ぼうと、お前の自由だ。ただ、その結果は受け入れろ。それから、お前の選択に周囲を巻き込むな。その平民の少女も、彼ら2人もだ。彼らには彼らの人生がある。責任も取れないなら、巻き込むな」
兄上はそう言うと、席を立って部屋を出て行った。
ジェライトとレビンも、この先も貴族でいるつもりなら、そろそろ婚約者を作ることを考えて、ちゃんとした言動をするようにと兄上に言われたそうだ。
婚約者。
兄上は僕にはそれを言わなかった。
その意味を僕は、のちにコンフェルト公爵令嬢から知らされることになる。
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