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あなたの言ってることは
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「随分なおっしゃりようですこと」
黙っていようと思ってたけど、『不敬は問わない』ってことだし?言いたいことを言わせてもらおう。
まぁ、不敬も何も、同じ貴族の子息令嬢なわけで、それならば公爵令嬢である私の方が身分は上だけどね。
「本当のことだろうが」
「その頭はお飾りですの?耳はついていまして?彼女がうちで侍女見習いをしているのは、彼女の意思ですわよ。この先、好きな方と一緒になるために頑張っていらっしゃるんですわ」
まぁ、ヒロインの言葉さえ理解しない脳筋には、納得できないでしょうけどね。
案の定、カクラムは顔を真っ赤にして私に掴みかかろうとしたけれど、ダイジェスト伯爵にすぐに押さえつけられた。
私を守ろうと、レイラとエレン、そしてチェリーさんまでがカクラムとの間に立ち塞がる。
「チェリー、危ないわ。下がりなさい」
「駄目です。私のして来たことの責任は私が取らないと」
「あなたが怪我をしたら、悲しむ方がいるでしょう?殿下。チェリーをお願いします」
振り返り、ラクトウェル殿下にチェリーを託す。
チェリーさんは渋々ながらも、殿下に手を引かれて私の後ろの位置へと戻った。
「さて、ダイジェスト様?あなた様が私をお嫌いなのはかまいませんけど、チェリーのことを馬鹿にしすぎではありませんか?」
「な、にを!」
「だってあなた様のおっしゃっていることは、チェリーには侍女として働くことも、自分で考え動くことも、何も出来ないと馬鹿にしているのと同じでしょう?」
私の言葉にカクラムは反論しようとして、口を開く。
だけど、私はそれに被せるように続けた。
「ちがっ・・・」
「お聞きしますけど、王族や高位貴族のご子息と交流していたチェリーに、貴族のご令嬢たちは冷たいですわよ?学園のうちはまだ良いとして、卒業した後のチェリーの働き口に影響が出るとは考えなかったのですか?」
「そ、それはみんなで・・・」
「みんなとは?ラクトウェル殿下ですか?アーシュリー様ですか?よく考えて発言なさいませ。あなた方は継ぐ家を持たない方々ですのよ?婚約者の家の入婿になるか、もしくは武勲をあげて騎士爵を賜るか、もしくは平民になるか。貴族のご子息であるあなた方が平民として暮らしていけますの?自分のことは自分でする生活ですわよ?チェリーが受け入れてくれたとして、彼女におんぶに抱っこで暮らすつもりですか?ふざけないで下さい」
それを理解したから、ジェライトたちはチェリーさんと距離を置き、婚約をした。
ラクトウェル殿下は、伯爵位を賜る準備をしながら、それでもチェリーさんが貴族としてやっていけない場合を考えて、文官の仕事を覚えようとしている。
何も考えていないくせに、文句だけは一人前に言わないで。
黙っていようと思ってたけど、『不敬は問わない』ってことだし?言いたいことを言わせてもらおう。
まぁ、不敬も何も、同じ貴族の子息令嬢なわけで、それならば公爵令嬢である私の方が身分は上だけどね。
「本当のことだろうが」
「その頭はお飾りですの?耳はついていまして?彼女がうちで侍女見習いをしているのは、彼女の意思ですわよ。この先、好きな方と一緒になるために頑張っていらっしゃるんですわ」
まぁ、ヒロインの言葉さえ理解しない脳筋には、納得できないでしょうけどね。
案の定、カクラムは顔を真っ赤にして私に掴みかかろうとしたけれど、ダイジェスト伯爵にすぐに押さえつけられた。
私を守ろうと、レイラとエレン、そしてチェリーさんまでがカクラムとの間に立ち塞がる。
「チェリー、危ないわ。下がりなさい」
「駄目です。私のして来たことの責任は私が取らないと」
「あなたが怪我をしたら、悲しむ方がいるでしょう?殿下。チェリーをお願いします」
振り返り、ラクトウェル殿下にチェリーを託す。
チェリーさんは渋々ながらも、殿下に手を引かれて私の後ろの位置へと戻った。
「さて、ダイジェスト様?あなた様が私をお嫌いなのはかまいませんけど、チェリーのことを馬鹿にしすぎではありませんか?」
「な、にを!」
「だってあなた様のおっしゃっていることは、チェリーには侍女として働くことも、自分で考え動くことも、何も出来ないと馬鹿にしているのと同じでしょう?」
私の言葉にカクラムは反論しようとして、口を開く。
だけど、私はそれに被せるように続けた。
「ちがっ・・・」
「お聞きしますけど、王族や高位貴族のご子息と交流していたチェリーに、貴族のご令嬢たちは冷たいですわよ?学園のうちはまだ良いとして、卒業した後のチェリーの働き口に影響が出るとは考えなかったのですか?」
「そ、それはみんなで・・・」
「みんなとは?ラクトウェル殿下ですか?アーシュリー様ですか?よく考えて発言なさいませ。あなた方は継ぐ家を持たない方々ですのよ?婚約者の家の入婿になるか、もしくは武勲をあげて騎士爵を賜るか、もしくは平民になるか。貴族のご子息であるあなた方が平民として暮らしていけますの?自分のことは自分でする生活ですわよ?チェリーが受け入れてくれたとして、彼女におんぶに抱っこで暮らすつもりですか?ふざけないで下さい」
それを理解したから、ジェライトたちはチェリーさんと距離を置き、婚約をした。
ラクトウェル殿下は、伯爵位を賜る準備をしながら、それでもチェリーさんが貴族としてやっていけない場合を考えて、文官の仕事を覚えようとしている。
何も考えていないくせに、文句だけは一人前に言わないで。
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