悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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規格外の公爵令嬢

「それで、領地はどうだった?」

 父親シリウスの問いに、ルーナは離れ離れだった愛猫を膝に抱き、頭を撫でながら答えた。

「領騎士の方々が頑張ってくれていますから、魔物の被害は出ていません。農地の方も、今年は豊作だと思われます」

「ああ。そっちの報告は届いているよ。それよりもみんなは元気だったかい?」

 領主であるシリウスの元には、領地の屋敷を任せている家令のジェームズから定期的に報告は届いている。

 使用人たちの忠誠を疑っているわけではないが、抜き打ち調査を兼ねてのルーナの訪問であった。

 誰しも、それぞれの家庭があり、それぞれの事情がある。

 どれだけ忠誠を誓っていても、絶対に裏切らないとは言えない。

 そう言ったのは、七歳になったルーナだった。

 物心ついた頃から、息を吸うように魔法を使い、年齢以上に聡明な娘にフィオレンサ公爵夫妻は戸惑った。

 魔力量は大人以上に多く、使える魔法は全属性。

 異常とも取れる自分の娘が、王家から望まれることは簡単に想像できた。

 だが、自分には大切な相手がいるから王子とは婚約しない。

 高位貴族として政略結婚をする義務があることは理解しているから、駄目なら勘当して欲しい。

 そう言い切ったルーナの表情があまりにも哀愁を帯びていて、フィオレンサ公爵夫妻はルーナを好きにさせることにしたのだ。

 ルーナの言う通り、高位貴族として政略結婚はある意味義務だ。

 その義務を放棄する代わりに、ルーナは領地経営など、公爵家の利となることを率先してするようになった。

「ええ。ジェームズは先週に腰を痛めたらしくて、カイルが手伝ってました。ランス兄様の体調も大分回復していて、半年後の学園入学には戻って来れそうです」

「そうか。領地の空気が合っているようで良かった。ジェームズは大丈夫そうか?カイルはランスロットと共に半年後にはこちらに来ることになるが」

「腰は一時的なものみたいですから、大丈夫だと思いますよ。でも、誰か補佐をつけた方がいいかもしれませんね」

「分かった。誰か探しておこう」

 ルーナの従兄にあたるランスロットは、シリウスの兄の息子だが、兄夫婦が馬車の事故で五年前に亡くなり、その時の怪我を癒すために領地で静養していた。

 その静養の際に、ルーナが連れてきたのがカイルである。

 カイルは元々は伯爵家の嫡男だった。
それが当主が愛人の息子を養子に取り、その息子に後を継がせると宣言したらしい。

 親に失望したカイルは、伯爵家の籍を捨て平民となっていた。

 何故、そんなことをルーナが知っていたのかは疑問だが、フィオレンサ公爵夫妻はルーナの提案通りにカイルをランスロット付きにしたのだった。


 
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