悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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公爵令嬢はお仕事中です

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「ねぇ、マーガレット。ルーナちゃんは・・・」

 前回のお茶会から三週間後。
再び王妃ヘスティアに呼び出された公爵夫人マーガレットは、ヘスティアの前でにっこりと微笑んだ。

「ルーナは今日、商会に出向いています。王妃殿下に渡して欲しいと新商品のサンプルを預かってますよ」

「そ、それは嬉しいわ。ありがとう。でも、忙しいのね。先日領地から戻ったばかりなのに」

 いくら王妃だからといって、月に何回もお茶会だと公爵夫人や令嬢を呼び出すわけにはいかない。

 だけど、ルーナとライアンの顔合わせはしたい。

 ギリギリ三週間という短期間で声をかけたのに、またもルーナは不参加。

 ルーナ発案だというフィオレンサ公爵家経営の人気の商会の商品は嬉しいが、ヘスティアとしては半年後の学園入学までに、何とかルーナとライアンの婚約を成したい。

「マーガレット。ルーナちゃんは婚約者いないのよね?」

 やむ得ない。
ここは直球でお願いするしかない。

 何度か撃沈しているが、もしかしたらもしかすることもある。

「駄目よ、ヘスティア。ルーナは自分の相手は自分で選ぶわ。公爵家うちと王家の仲を違わせたくないでしょ?」

 フィオレンサ公爵家を、敵にまわしたくはない。
 敵になられても、このアデライン王国から出て行かれても、どちらにしても大打撃である。

 だが、ルーナをライアンの嫁には欲しい。

 彼女を手に入れるということは、フィオレンサ公爵家を手に入れるということである。

 いや。
フィオレンサ公爵家というバッググラウンドがなくても、ルーナ本人の魅力が高すぎる。

 ヘスティアにとって、一人息子のライアンは人様に誇れる息子である。

 見目も麗しく、身分にこだわらず人に優しい。
 自分がいずれアデライン王国を背負うことを理解していて、努力も怠らない。

 いわゆる自慢の息子なのだ。

 だからこそ、お互いが会いさえすれば惹かれ合うに違いない。

 そう思うからこそ、マーガレットに頼むのだがどうしても頷いてもらえない。

 ヘスティアがガックリと肩を落とすのを見て、マーガレットは苦笑した。

「学園が始まればどうせ顔を合わせるのだし、慌てなくていいでしょう?ルーナが殿下に惹かれて、殿下もルーナを気に入ったなら、婚約を拒否したりしないわよ。本人たち次第、ね?」

 マーガレットにはわかっている。

 ルーナがライアン殿下に惹かれるわけがない。

 大体、最初の婚約の申し込みの時点で、はっきりと拒否しているのだ。

 そして、ルーナの関心は『推し』にしかないのだから。
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