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愚か者の婚約者
ルーナ作の魔道具は、正常に作動したようだ。
セドリックはシシリーから距離を取り、アマリアと共に過ごすようになった。
その様子を見たアレックスとダグラスの婚約者が、アマリアから聞いてルーナのもとを訪れた。
「こきけんよう、フィクサー様、ジョルダン様」
「ごきげんよう、フィオレンサ公爵令嬢様。わたくし、フィクサー侯爵家が長女メルティンと申します」
「ごきげんよう。私はジョルダン侯爵家が次女カーラですわ。お時間をいただきありがとうございます」
アデライン王国では、下の身分の者が上の身分の者に話しかけることは基本的に良しとされていない。
もちろん、急な用の場合は別だが、その際でも名乗りをあげ、許可を得てから発言するのが当たり前とされている。
だからルーナから挨拶をし、侯爵家の令嬢である二人が名乗りを上げるのは自然なことだった。
当然のことながら、家名で呼ぶ。
勝手に名前呼びし、それが許されるのは物語の中のヒロインだけである。
普通、貴族の子女ともなるとお茶会を開いたりして他家との繋がりを作るものだが、ルーナは公爵家をランスロットに返すつもりだし、アデライン王国にも執着がない。
その上、ルーナは公爵家の価値を上げるのに大忙しである。
おまけに王妃殿下からのお茶会を断っている状態である。
それ故に、他家のご令嬢との接点は学園に入学してから築かれていた。
「ご用件を伺っても?」
学園に入学して、高位貴族の子息やご令嬢方の為人は観察してきたつもりだが、ルーナは自分で見極めない限り名を呼ぶことを許可はしない。
目の前の二人が攻略対象の婚約者で、セドリックの様子を見てアマリアから話を聞いて来たのだとしても、はいどうぞ、と魔道具を渡すつもりもない。
大体、あの魔道具は高級品なのである。
希少な魔石を加工して、魔術発動のための魔術語を刻む。
一見模様に見える魔術語は、ルーナだけが読み書きできる文字だ。
日本語に象形文字を混ぜたような、他人には読めない文字を作り、それに魔法を乗せた。
要するにチートである。
日本語だけでもこの世界の人間には読めないが、転生者には読める。
転生者対策の魔道具が転生者に読め、もし解除できたりしたら意味がないからだ。
「わたくしの婚約者はアレックス・セルビア公爵令息。ジョルダン様の婚約者はダグラス・ロックベル侯爵令息。二人とも共にシシリー・リゾーラ男爵令嬢に懸想している愚か者ですわ」
偽ヒロインに懸想している愚か者。
まさしくその通りなのだが、言葉にしてしまうとあまりにひどい。
それでも、婚約を結んでしまった以上、簡単には解消できない。
だからこそルーナの元へ来たのだろう。
セドリックはシシリーから距離を取り、アマリアと共に過ごすようになった。
その様子を見たアレックスとダグラスの婚約者が、アマリアから聞いてルーナのもとを訪れた。
「こきけんよう、フィクサー様、ジョルダン様」
「ごきげんよう、フィオレンサ公爵令嬢様。わたくし、フィクサー侯爵家が長女メルティンと申します」
「ごきげんよう。私はジョルダン侯爵家が次女カーラですわ。お時間をいただきありがとうございます」
アデライン王国では、下の身分の者が上の身分の者に話しかけることは基本的に良しとされていない。
もちろん、急な用の場合は別だが、その際でも名乗りをあげ、許可を得てから発言するのが当たり前とされている。
だからルーナから挨拶をし、侯爵家の令嬢である二人が名乗りを上げるのは自然なことだった。
当然のことながら、家名で呼ぶ。
勝手に名前呼びし、それが許されるのは物語の中のヒロインだけである。
普通、貴族の子女ともなるとお茶会を開いたりして他家との繋がりを作るものだが、ルーナは公爵家をランスロットに返すつもりだし、アデライン王国にも執着がない。
その上、ルーナは公爵家の価値を上げるのに大忙しである。
おまけに王妃殿下からのお茶会を断っている状態である。
それ故に、他家のご令嬢との接点は学園に入学してから築かれていた。
「ご用件を伺っても?」
学園に入学して、高位貴族の子息やご令嬢方の為人は観察してきたつもりだが、ルーナは自分で見極めない限り名を呼ぶことを許可はしない。
目の前の二人が攻略対象の婚約者で、セドリックの様子を見てアマリアから話を聞いて来たのだとしても、はいどうぞ、と魔道具を渡すつもりもない。
大体、あの魔道具は高級品なのである。
希少な魔石を加工して、魔術発動のための魔術語を刻む。
一見模様に見える魔術語は、ルーナだけが読み書きできる文字だ。
日本語に象形文字を混ぜたような、他人には読めない文字を作り、それに魔法を乗せた。
要するにチートである。
日本語だけでもこの世界の人間には読めないが、転生者には読める。
転生者対策の魔道具が転生者に読め、もし解除できたりしたら意味がないからだ。
「わたくしの婚約者はアレックス・セルビア公爵令息。ジョルダン様の婚約者はダグラス・ロックベル侯爵令息。二人とも共にシシリー・リゾーラ男爵令嬢に懸想している愚か者ですわ」
偽ヒロインに懸想している愚か者。
まさしくその通りなのだが、言葉にしてしまうとあまりにひどい。
それでも、婚約を結んでしまった以上、簡単には解消できない。
だからこそルーナの元へ来たのだろう。
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