悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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聖女の気持ちと立場

「このことは私からライアン殿下に伝えたりしませんから、アナ様のお気持ち教えて下さいませんか」

 学園の帰りにアナを公爵家に誘ったルーナは、私室でお茶を飲んでしばらくしてからそう尋ねた。

 課題で提出した魔導石が、試しに修道院や孤児院に配られることに決まったこと。

 魔石の屑石の加工は、フィオレンサ公爵家の商会が請け負い、王家に献上。

 王家や教会などで、火魔法や治癒魔法を石に込めて再び商会に戻す。

 それを商会は、ギルドやハンターから屑石を買った値段で販売する。

 という仕組みになったことを最初は話していた。

 全く、商会にも王家にも利がない話に見える。

 だが、王家からすればこの魔石が平民に行き渡ることで、民の暮らしは向上し、国自体が豊かになる。

 魔法を込める作業は、魔力制御の訓練にもなるからと、王族であるライアンとリリアナが率先してやるため、誰も文句が言えない状態であった。

 一方、フィオレンサ公爵家の商会は、買った屑石を加工する手間があるのに、利がないと思われているが、そもそもこの商会はルーナの隠れ蓑である。

 加工もルーナが全てやっているし、何より商会にこれ以上の利を求める必要性がない。

 商会員は全てフィオレンサ公爵家の使用人で、ルーナお嬢様至上主義だから、商人らしからぬ奉仕だと民のフィオレンサ商会の株、つまりはルーナの株が上がることで満足している。

 そんな話をしていて、しばらくしてからルーナは唐突にアナにそう聞いたのだ。

 アナはルーナが、冷やかしや単なる疑問としてでなく、本当のアナの気持ちを答えろと言っていることに気付いていた。

 だから、目をふせ俯いてしまう。

 アナは自分が聖女だからといって、特別な存在だとは思っていない。

 特別な存在というのは、目の前のルーナみたいな人間のことだ。

 全魔法使いで、魔力量も多く、しかも公爵令嬢という身分。

 優しくて、身分にとらわれることなく相手の本質を見ていて、分け隔てなく接してくれる。

 聖女などと言われていても、元平民で男爵家の娘の自分とは雲泥の差である。

 本当はルーナが王太子妃、王妃になるのが相応しいとアナは思っていた。

 ルーナは嫌がっていたが。

 ライアンのことは・・・

 最初は「ああ、王子様って感じの人ね」としか思わなかった。

 だって、自分には全く縁のない人だから。

 だけど、ルーナやリリアナと一緒にいるようになって、二人の好きな人のことや事情を理解するようになって・・・

 そしてライアンの本質も徐々に知って。

「素敵な・・・方だと思います」

 アナは自分の身分をわきまえていた。
だからこそ、目を背けていた気持ちだった。
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