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告白
「ルーナ様」
ルーナはカイルの視線から一瞬目を逸らしたが、再び目を合わせるとにっこりと微笑んだ。
「カイル。これが一番、誰も傷つかないの。それに、私も他の国を見てみたいと考えてた。時期が少し早くなってしまうけど、卒業まで待つのは難しそうだもの。別に貴族として生きるのでなければ、学園の卒業にこだわる必要はないわ」
「誰にも言わずに、出て行くつもりなのですか?」
「言ったら引き止められるわ。リリアナ様なんて、王妃様を幽閉するからって言いそうだし。アナ様は、自分を認めてくれるまで頑張るからって言うと思うわ。でもね、それは私の望むところではないの」
ルーナの目は、もうすでに心を決めているのか、揺らぎもしない。
ランスロットの言った通りだと、カイルは心の中で小さく息を吐いた。
あの時、ランスロットから叱責されていなければ。
きっと気付いた時には、ルーナは自分の前からいなくなっていただろう。
カイルは意を決して、ルーナの顔を見つめた。
銀色の艶やかな髪に、月明かりを閉じ込めた金を帯びた銀色の瞳。
小柄で折れそうなほど華奢で、儚げで、それでいて誰よりも心の強い女性。
誰よりも、誰よりも・・・
「ルーナ様。俺も一緒に連れて行って下さい」
「え?何を言ってるの?カイルはランス兄様の侍従でしょう?これからのランス兄様を支えてあげてくれなきゃ駄目よ」
ルーナは即座に否定した。
ルーナは自分がこの国を出た後、カイルが望むようならフィオレンサ伯爵家の後継にしても良いと考えていた。
元々、カサブランカ伯爵家を継ぐための教育は幼少期に受けていたカイルだ。
十歳以降は侍従をしていたが、それでもランスロットとともに教育を受けさせていた。
ランスロットがフィオレンサ公爵家を継いだ後、そのまま側近としてそばにいるもよし、フィオレンサ伯爵に戻るシリウスの養子になり伯爵家を継ぐもよし、だ。
「ランスロット様の許可はいただいています。俺は、ルーナ様について行きたいんです」
「カイル、よく考えて?私はみんなの顔を見に帰る程度のことはあっても、もうこの国に戻るつもりはないの。この国はあなたにとって、お母様との思い出の国でしょう?ランス兄様の侍従を辞めても、私が出奔するからフィオレンサ伯爵家の後継の座が空くの。カイルさえ良ければ継いでくれても良いのよ?」
「確かに、アデライン王国には母との思い出はあります。でも、俺にとって大切なのはルーナ様、あなたのそばにいることなんです。ずっと、出会ってからずっとお慕いしていました。ルーナ様、俺は貴女が好きなんです」
ルーナはカイルの視線から一瞬目を逸らしたが、再び目を合わせるとにっこりと微笑んだ。
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誰よりも、誰よりも・・・
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ルーナは即座に否定した。
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