決めたのはあなたでしょう?

みおな

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いきなり過ぎませんか?

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「アリス嬢。精霊国ベルスィートのカインが、レンブラント王国アリス・ジョージアナ嬢に求婚いたします。僕の妻になって欲しい」

 カイン様は、帰られた翌日の午後、両手に抱えきれないほどの薔薇の花束を持って現れました。

 え?ちょ・・・ちょっと待って下さい。求婚ですか?

 え?普通は、お付き合いとかから始めるんじゃないですか?
 政略結婚にしても、まずは婚約ですよね?

 どうして、いきなり求婚なんてことになってるんですか?

「あ、あの・・・」

「駄目・・・だろうか?」

 こんな素敵な男性に、求婚されて嬉しくない人なんていません。
 それに、伝承では精霊国と縁を結べは、国は実り豊かになるのですよね?レンブラント王国のためにもなります。

 でも・・・

 婚約者に浮気をされた上に、婚約解消された私を婚約者にしたりしたら、ご迷惑をおかけしてしまいます。

「も、申し訳・・・」

「謝らないでくれ。僕では、駄目なのか?」

「ちっ、違います!ベルスィート様が駄目なのではなく、私が!私がベルスィート様に相応しくないのです」

『えー?なんで~?僕に触れるし、可愛いし、全然駄目じゃないよ~?』

 アエラスくんが、渡された薔薇の花束の中から、ピョコッと顔を出します。

 びっくりです。
棘は・・・取ってくださってるみたいですから怪我はしなさそうですね。

 ふふっ。可愛いのはアエラスくんの方ですわ。

「近い」

 アエラスくんの首の辺りを、精霊王様がヒョイっとつまみ上げました。

『王様のケチ~!それに、アリスは可愛いってちゃんと言わないと駄目じゃーん』

「わざわざ言わなくても、アリス嬢は当然、可愛い」

『女心が分かってないなぁ~、王様ってば』

「そんな言葉、どこで覚えてきた」

 本当です。どこで覚えて来られたのでしょうか。
 アエラスくんは、腰に手を当てて、胸を張られました。

『さっき、ジュリアンが言ってた。オレンジ色の髪の女の子に』

「僕の、どこが分かってないと言うんだ?アリス嬢はとても愛らしい。だから、妻にと望んでいるんじゃないか」

「え~!そんなこと僕に言われても知らないよ~。文句があるなら、ジュリアンに言いなよ。あ、ほら、ちょうど来たみたいだよ』

 アエラスくんがそう言って扉の方を向くと同時に、ノックもなくいきなり扉が開きました。

「カーイーンー!!」

「なんだ?ジュリアン。お前は自分の王宮だからといって、ノックもせずに」

「そんなことは、今はいい!いや、ジョージアナ嬢には申し訳なかった。すまない。それよりも、カイン!お前は色々と端折りすぎだ!」

 ジュリアン王太子殿下は、ビシッと指を精霊王様に突きつけました。

 駄目ですわ、王太子殿下。またアエラスくんが真似をしてしまいます。




 

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