決めたのはあなたでしょう?

みおな

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誰かを好きになるということ

「私・・・は、サイードさんのことを、好きだったわけじゃないと、思っています」

「ええ。あの男が一目惚れしたと、婚約を申し込んできたのよね」

 マリンティア様の言葉に頷きます。

「それでも、しばらくは、うまくやれていたと思うんです」

 サイードさんが学園に入学して一年ほど経つまでは、学園が終わってからや鍛錬のない日は毎日、ジョージアナ伯爵家へ訪れて下さっていました。

 色々なお話をしてくださり、私もそれを聞くのが楽しみでした。

「サイードさんがナターシャさんを想うような、そんな好きではなかったかもしれませんけど、この先この人となら穏やかに過ごしていける、そう思っていたんです」

「アリス・・・」

「真実の愛ってなんなんでしょう。サイードさんは侯爵家の次男で、貴族の婚約結婚がどういうものか理解されてる上で、真実の愛を選ばれました。それでも、最初から政略結婚のお相手だったなら諦めもつくんです。でも・・・」

 会いたかったとか、一緒に学園に通いたいとか、たくさん言われたから。

 好かれているかもなんて勘違いしてしまったのです。

 カイン様のお気持ちを疑っているわけじゃありません。

 私が伯爵家を継ぐからと伝えたら、レンブラント王国まで来てくださいました。
 お友達からとお願いしたら、快く了承してくださいました。

 カイン様は、とても真摯に私に向き合って下さっています。

 でも、サイードさんも最初は、とても優しくして下さった・・・

 今思えば、一目惚れしたとスペンサー侯爵様から伝えられたけど、サイードさんからは好きだとは言われていなかったかもしれません。

 だから、私を好きだとおっしゃって下さるカイン様とは違う。

 それは理解しているのです。

 でも、人の気持ちは変わってしまうものです。

 私は、カイン様の番だと言われています。
 番というものについて、私はよく分からないのですが、一生にひとりだけだとお伺いしました。

 そんな立場なら、疎まれることはないと思います。
 嫌われることもないかもしれません。

 でも、それは・・・
『番だから』ではないでしょうか。

 もし、他の方が番だったなら、その方を望まれるのではないでしょうか。

 政略結婚なら、諦めがつきます。
お互い尊重し合い『良い家族』になれるなら、そこに恋愛感情がなくても、我慢できます。

 私でなくても良いのでは?
などと、思わなくて済みます。

 だから、政略結婚のお相手として、カイン様と婚約すれば良いのです。

 私は・・・
誰かを好きになるということが、怖いのです。






 
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