決めたのはあなたでしょう?

みおな

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番という存在《カイン視点》

「そうか・・・」

 アエラスからの報告に、小さく息を吐く。

 アリス嬢とレンブラント王国王女の話を盗み聞きしてきたアエラスは、僕の周囲を飛び回っている。

「アリス嬢には、気付かれなかっただろうな?」

『とーぜん!でも~、アリスは何をあんなに悩んでるの~?』

『もぉ!アエラスは本当に馬鹿ね。番様は、きっと《番であること》だけで自分がもとめられてると思われてるのよ』

『それは、王の失態ですね。決して番様だから求められているのではないのでしょう?』

 アクアやボルトに責められる。
現在、精霊たちは僕とアリス嬢のそばに居たいからと、レンブラント王国王宮内に留まっていた。

 この国には、精霊たちの姿を見ることができる者はいない。

 だから、せいぜい僕が独り言を言っている、変な人間だと思われるだけだ。

 そのこと自体はどうでもいい。
ただ、いずれ婚姻し侯爵となるアリス嬢に迷惑がかかってはいけないから、人前では精霊たちと会話しないだけだ。

 番・・・

 精霊たちの姿を見ることができ、声を聞くことができ、そして触れることができる存在。

 精霊の王である僕の『唯一』であるという証。

 確かに、アエラスから触れることができる存在を見つけたと言われ、歓喜した。

 精霊王にとって、番を得ることは至上の喜びだ。

 渇きが満たされることと、力が桁違いに増すこと。
 それが番を得るということだ。

 だから。
正直に言って、初めて出会った時、愛しいと思ったのは、番だからだと思う。

 番は魂の片割れと言われ、求めずにいられない存在だと聞く。
 
 そんな存在を愛しいと思うのは、当たり前のことだ。

 だけど。
婚約を申し込んだら、自分は伯爵家を継ぐので、と断られた。

 サザンスィート王国の、精霊の加護の恩恵を知っていれば、貴族なら是非にと望むだろうに。

 興味がわいて、友達からということで、交流することになった。

 婚約者に心変わりをされ、婚約を解消したこと。

 レンブラント王国王女の恋を応援したくて、ジュリアンの気持ちを知りたいと、僕に協力を頼んできたこと。

 自分が貴族としては判断が甘く、そのことを恥じて強くなろうとしていること。

 色んなことを知るたびに、アリス嬢をもっと愛しいと思うようになった。

 彼女が常に笑顔でいられるように尽力したい。そう思うようになった。

 もしも・・・
番がアリス嬢でなく、レンブラント王国王女だったとしたら?

 アリス嬢の不安は、きっとそういうことだ。

 確かに、最初は『番だから』だった。
でも、今は・・・


 

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