婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな

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第1章

シスコン

 アゼルをシスコンにするべく、攻略を始めて、1週間ー

「可愛いヴィヴィ。さっさとあんな馬鹿おうじとは婚約破棄しようよ」

 少々、行き過ぎた。
アゼルは、アベルとはまた違ったシスコンぶりを発揮するようになったのだ。

「アゼルお兄様。不敬ですわよ」

「だってアイツ、あれから全然ヴィヴィに会いに来ないじゃないか」

 まぁ、確かにアゼルの言い分も分かる。
例の交流日の欠席から、すでに10日。普通なら会えなかった謝罪に訪れるべき我が婚約者様は、手紙1枚寄越さない。

 おそらく、ヒロインに傾倒しているのだろう。
 ゲーム内では、出会いイベントのあと、次に会うのは学園だったはずだが、ヒロインがもし転生者なら、王子の攻略のために手を尽くすかもしれない。

 まぁ、それは別に構わない。
ヒロインの手垢のついた第2王子と結婚したいとも思わないし、あの取り柄なしの王子が爵位を賜って領主になったとしたら、苦労するのは私だもの。

 だから、婚約解消に関しては望むところだ。だけど、それは今ではない。

 もう少し攻略が進んで、不貞の証拠をばっちり集めてからでないと婚約解消が認められない場合がある。
 ましてや相手が平民だ。あんなバカでも大切な息子だ。さすがに平民に落としたくはないだろう。

 乙女ゲームでは、私に冤罪をかけて婚約破棄したことで、とりあえずヒロインと結ばれた。
 だけど、そのあとどうなったのかは語られない。

 それはそうだ。乙女ゲームは、ヒロインが攻略対象を攻略して、幸せになりましたとさ、ちゃんちゃん。てなものなのだから。

 だけど、ここは、乙女ゲームの世界と同じだとしても、みんな生きているのである。
 ゲームの中のように決められた選択肢を選ぶのではなく、それぞれが自分の思ったように動くし、選択する。
 そして、攻略を終えたその先もあるのだから。

 ヒロインが第2王子を攻略した後、ゲーム通りに爵位を賜ったとしても、あの取り柄なしがまともに領地経営できるとは思えない。
 それはヒロインも然りである。
確かに愛らしく優しい存在で、ゲーム内ではそれなりに勉強も出来ていたと思うが、領地経営のりの字も知らない平民の彼女に、どこまでできるのか、という感じだ。

 だから、まだ婚約解消は早い。
とりあえず、学園に入学してから証拠集めをしなければならない。

 そのための駒として、アゼルには働いてもらう予定だ。
 あとは、宰相の息子に、騎士団長の息子と魔術師団長の息子もヒロインに攻略されないように、味方に引き入れておかなければならない。

 学園に入学するまでに、他の攻略対象は私が攻略させてもらう。

 私はにっこりとアゼルに微笑みかけた。

「アゼルお兄様。私は、お兄様にお願いがあるの」


 
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