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最終章それぞれの未来へ

元婚約者の未来

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 ハロルド・ダートン公爵令息。
アリス・ビスクランドの前回の婚約者であり、ヒロインを好きになった挙句に冤罪でアリスを殺した人。

 私は彼のことが大嫌いでした。
は殺されたアリスではないけれど、彼女の記憶も持っていたから、冤罪をかけられて処刑されるまでの彼女の悲しみや絶望が理解できたのです。

 それに、私は前世で恋人だと思っていた、実際はただのヒモ以下の男に殺されましたから、余計にハロルドのことは許せなかったのです。

 だから、ハロルドとの婚約を回避しようとしました。

 公爵家からの婚約をお断りして、お父様の提案で王弟であるサードニクス公爵のご子息、セシル様とお会いしました。

 セシル様と婚約した私に、ハロルドは第1王子の力を借りて文句を言いに来ましたけど、そこはセシル様が守って下さいました。

 前回の冤罪のこともあって、ハロルドのことが大嫌いな私は、本人にはっきり嫌いだと告げました。
 結果、ハロルドと第1王子は、父親である国王陛下とダートン公爵にこっ酷く叱られたようです。

 それから、学園に入学するまで、ハロルドと会うことはありませんでした。

 学園に入学してきたハロルドは、私との距離を無理に詰めることなく、普通に顔を合わせるだけの学友になる予定でした。

 それが変わったのは、ヒロインであプリシア様が、私と同じ転生者で、しかも前世の私と一緒に命を落としたお嬢さんだったからです。
 ヒロインと常に共にいることで、他の攻略対象も一緒にいる機会が増えてしまいました。

 その上、ヒロインもどきと思われる転生者まで現れたのです。
 その方が、あまりに電波系のありえない方だったことで、私とハロルドや第1王子との距離は縮まることになりました。

 ハロルドにも、第1王子にも婚約者がいたこともあると思います。

 セシル様には、私の前世の話も、アリスの過去の話も、乙女ゲームの話もしてありますから、婚約者がいなければハロルドたちが私の側にいることは許さなかったと思います。

 そのハロルドは、学園を卒業してからお父様であるダートン公爵に付いて後を継ぐべくお勉強をしているそうです。
 婚約者のキャロライン・アイシス侯爵令嬢様は、私たちの2歳年下なので、彼女の学園卒業を待ってから婚姻するのだと思います。

 キャロライン様とは、プリシア様とエルンスト様の縁を結ぶためのお出かけのときに初めてお会いしました。

 橙色の髪はふわふわとしていて、甘い砂糖菓子のような、とても可愛らしいご令嬢でした。
 守ってあげたくなるような婚約者に、ハロルドはぞっこんのようです。

 私を殺した元婚約者ですが、今の彼は違うということは理解しています。
 もう彼に対して憎しみはありません。
キャロライン様を幸せにしてあげて欲しい、そう思います。

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