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ご機嫌を損ねたようです
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理事長室の扉をノックすると、内側からドアを開けてくれた男性に目を丸くした。
シオン殿下の従者の、キース様だった。
「ああ、レティシア様。お待ちしておりました」
扉を大きく開けて、中へと導いてくれる。
「殿下。レティシア様がお越しになりました」
「レティシア!」
一際大きな机の前に座っていた、シオン殿下が立ち上がって、歩み寄ってくる。
キース様がいたから、シオン様がいるのはわかったけど、どうして理事長室に?
シオン様は、私の目の前まで来ると、きゅうっと抱きしめてくる。
背の高いシオン様に、抱きしめられると、まだ子供の私の顔は、シオン様の胸の辺りにまでしか届かなくて、シオン様の心臓の音が直接耳に響いて、落ち着かない気持ちになる。
モゾモゾと動く私の髪を、スッと撫でると、シオン様は腕を緩めてくれた。
「ああ、苦しかった?ごめんね?」
「!」
甘く柔らかな声でそう言って、蕩けそうな目で見つめてくる。
推しが!前世の最推しが!尊い!!
うわー。この人が、私の旦那様なんだ。
この人が、私と結婚したいって、言ってくれたんだ。
胸のドキドキが治まらず、シオン様の胸に、グリグリと頭を押し付けてみる。
よく、ルティシアがしてくるやつね。
チラッと、シオン様を見上げると、彼はびっくりしたように、でも、何だか嬉しそうに私を見下ろしていた。
「ふふっ。僕の奥さんは可愛いね」
「!!」
可愛いのはあなたですっ!私をキュン死させる気ですかっ!
シオン様は、抱きしめていた手を離すと、私の手を引いたまま、元いた机へと戻っていく。
そして、そのまま、腰掛けた自分の膝の上に私を座らせた!
膝抱っこ!!
そんなの、お父様にすらされたことありません!
恥ずかしくて、顔に熱がたまっていく。
「ああ、レティシア、真っ赤だね」
膝の上に座っていることで、立っているときより顔の位置が近い。
身長差あんなにあるのに。
脚長さんかっ。顔いいうえに、スタイルまでいいなんて、モデルさんかっ。
前世の知識の、モテモテの人たちを思い浮かべる。
その人たちより、シオン様の造形は優れていると思う。
ルティシアも可愛いし、あんなでもレインハルト王子もカッコいい部類だと思うし、クロードもキース様も美形だし、お父様も陛下も大人の渋いナイスミドルってやつだし、乙女ゲームって、美形しかいないのかしら?
「レティシア?僕の奥さんは、僕といるのに、誰のことを考えてるのかな?」
こめかみのあたりで不穏な声がして、頬を大きな手が撫でる。
そのまま、顔を上げられると、黒い瞳がジッと私を見つめていた。
えっと。えっと。これって、なんだか・・・
「シオン様」
その、綺麗な顔が近づいてくる気配に固まっていると、キース様の声がした。
そうだ!キース様いたんだ!!
は、恥ずかしいっ。膝抱っこ、おろして下さいー
手から逃れようと、ジタバタする私を、シオン様は離すまいと、さらにぎゅうっと抱きしめてくる。
「キース、外してよ」
「だめです。公爵に殺されますよ」
キース様は淡々とそう言うと、シオン様の腕を外して、私を立たせてくれた。
ありがとうございますぅ。
こないだ婚約したけど、ついでに結婚もしたけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
しかも、キース様いるし。
ん?
2人きりなら、止める人がいないわけで・・・
でも、お父様、節度あるって言ってたし、シオン様もわかったって・・・
よし!なかったことにしよう!不穏な雰囲気はなかった!うん!
久しぶりに会えたのに、とか、レティシアは僕の奥さんなのに、とか、シオン様はぶつぶつ言ってるけど、キース様は全く気にもとめずに、どうぞ、と紅茶を応接セットの方へと置いてくれた。
従者、強し!
「ありがとうございます」
ソファーへ腰かけると、仕方なさそうに、シオン様も私の前の、1人用のソファーへと移動してくる。
「それで、どうしてシオン様が?」
そう尋ねると、シオン様は、「ああ、それはね」と話し始めた。
「今日からレティシアは、学園の寮に入るだろう?そうなると、僕は、長期休暇の時以外会えなくなるからね。父上とも相談して、3年間、理事長代理として、学園にいることにしたんだ」
にこやかにそう言ったシオン様は、それにね、と続ける。
「最近、レインハルトが父上に、レティシアと婚約したいって、しつこく言ってるらしくて。まぁ、レティシアは僕の奥さんだから、婚約なんてできないけど、念のためね」
近くにいないと助けられないからね、と言われ、私は嬉しくなってしまった。
「あ、あの!じゃあ、クロードがおめでとうって言ったのって」
「クロード?ああ、ラヴェルのご子息だね。レティシアには、常にルティシア嬢が一緒にいてはくれるけど、もしもってことがあるからね。味方は多い方がいいと思って、婚約したことは伝えたけど・・・」
なるほど。婚約おめでとうだったんだ。そうよね。婚姻のことは、ルティシアにも内緒だものね。
そんな風に納得していると、「レティシアは、」とシオン様が少し固い声をあげた。
「彼のこと、ファーストネームで呼んでるんだ」
「え?だって、クロードは幼なじみで・・・」
何を当たり前のことを、と言い返しかけて、シオン様の、熱を帯びた瞳に、言葉を続けられなくなる。
「そういえば、僕は、レティシアに好きってすら言ってもらえてないな」
そう言いながら、私の隣へと移動してくる。
えっと。えっと。
確かに、言ってないかもだけど。
推しですから!前世からの最推しですから!!
あわあわしながら、助けを求めるように、視線を泳がせているとー
「殿下。少々外します」
入口で控えていた、キース様が外へと出て行く。
え。助けて。
思わず、逃げ出そうとした腕を掴まれた私の目の前で、扉が無情に閉まった。
シオン殿下の従者の、キース様だった。
「ああ、レティシア様。お待ちしておりました」
扉を大きく開けて、中へと導いてくれる。
「殿下。レティシア様がお越しになりました」
「レティシア!」
一際大きな机の前に座っていた、シオン殿下が立ち上がって、歩み寄ってくる。
キース様がいたから、シオン様がいるのはわかったけど、どうして理事長室に?
シオン様は、私の目の前まで来ると、きゅうっと抱きしめてくる。
背の高いシオン様に、抱きしめられると、まだ子供の私の顔は、シオン様の胸の辺りにまでしか届かなくて、シオン様の心臓の音が直接耳に響いて、落ち着かない気持ちになる。
モゾモゾと動く私の髪を、スッと撫でると、シオン様は腕を緩めてくれた。
「ああ、苦しかった?ごめんね?」
「!」
甘く柔らかな声でそう言って、蕩けそうな目で見つめてくる。
推しが!前世の最推しが!尊い!!
うわー。この人が、私の旦那様なんだ。
この人が、私と結婚したいって、言ってくれたんだ。
胸のドキドキが治まらず、シオン様の胸に、グリグリと頭を押し付けてみる。
よく、ルティシアがしてくるやつね。
チラッと、シオン様を見上げると、彼はびっくりしたように、でも、何だか嬉しそうに私を見下ろしていた。
「ふふっ。僕の奥さんは可愛いね」
「!!」
可愛いのはあなたですっ!私をキュン死させる気ですかっ!
シオン様は、抱きしめていた手を離すと、私の手を引いたまま、元いた机へと戻っていく。
そして、そのまま、腰掛けた自分の膝の上に私を座らせた!
膝抱っこ!!
そんなの、お父様にすらされたことありません!
恥ずかしくて、顔に熱がたまっていく。
「ああ、レティシア、真っ赤だね」
膝の上に座っていることで、立っているときより顔の位置が近い。
身長差あんなにあるのに。
脚長さんかっ。顔いいうえに、スタイルまでいいなんて、モデルさんかっ。
前世の知識の、モテモテの人たちを思い浮かべる。
その人たちより、シオン様の造形は優れていると思う。
ルティシアも可愛いし、あんなでもレインハルト王子もカッコいい部類だと思うし、クロードもキース様も美形だし、お父様も陛下も大人の渋いナイスミドルってやつだし、乙女ゲームって、美形しかいないのかしら?
「レティシア?僕の奥さんは、僕といるのに、誰のことを考えてるのかな?」
こめかみのあたりで不穏な声がして、頬を大きな手が撫でる。
そのまま、顔を上げられると、黒い瞳がジッと私を見つめていた。
えっと。えっと。これって、なんだか・・・
「シオン様」
その、綺麗な顔が近づいてくる気配に固まっていると、キース様の声がした。
そうだ!キース様いたんだ!!
は、恥ずかしいっ。膝抱っこ、おろして下さいー
手から逃れようと、ジタバタする私を、シオン様は離すまいと、さらにぎゅうっと抱きしめてくる。
「キース、外してよ」
「だめです。公爵に殺されますよ」
キース様は淡々とそう言うと、シオン様の腕を外して、私を立たせてくれた。
ありがとうございますぅ。
こないだ婚約したけど、ついでに結婚もしたけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
しかも、キース様いるし。
ん?
2人きりなら、止める人がいないわけで・・・
でも、お父様、節度あるって言ってたし、シオン様もわかったって・・・
よし!なかったことにしよう!不穏な雰囲気はなかった!うん!
久しぶりに会えたのに、とか、レティシアは僕の奥さんなのに、とか、シオン様はぶつぶつ言ってるけど、キース様は全く気にもとめずに、どうぞ、と紅茶を応接セットの方へと置いてくれた。
従者、強し!
「ありがとうございます」
ソファーへ腰かけると、仕方なさそうに、シオン様も私の前の、1人用のソファーへと移動してくる。
「それで、どうしてシオン様が?」
そう尋ねると、シオン様は、「ああ、それはね」と話し始めた。
「今日からレティシアは、学園の寮に入るだろう?そうなると、僕は、長期休暇の時以外会えなくなるからね。父上とも相談して、3年間、理事長代理として、学園にいることにしたんだ」
にこやかにそう言ったシオン様は、それにね、と続ける。
「最近、レインハルトが父上に、レティシアと婚約したいって、しつこく言ってるらしくて。まぁ、レティシアは僕の奥さんだから、婚約なんてできないけど、念のためね」
近くにいないと助けられないからね、と言われ、私は嬉しくなってしまった。
「あ、あの!じゃあ、クロードがおめでとうって言ったのって」
「クロード?ああ、ラヴェルのご子息だね。レティシアには、常にルティシア嬢が一緒にいてはくれるけど、もしもってことがあるからね。味方は多い方がいいと思って、婚約したことは伝えたけど・・・」
なるほど。婚約おめでとうだったんだ。そうよね。婚姻のことは、ルティシアにも内緒だものね。
そんな風に納得していると、「レティシアは、」とシオン様が少し固い声をあげた。
「彼のこと、ファーストネームで呼んでるんだ」
「え?だって、クロードは幼なじみで・・・」
何を当たり前のことを、と言い返しかけて、シオン様の、熱を帯びた瞳に、言葉を続けられなくなる。
「そういえば、僕は、レティシアに好きってすら言ってもらえてないな」
そう言いながら、私の隣へと移動してくる。
えっと。えっと。
確かに、言ってないかもだけど。
推しですから!前世からの最推しですから!!
あわあわしながら、助けを求めるように、視線を泳がせているとー
「殿下。少々外します」
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思わず、逃げ出そうとした腕を掴まれた私の目の前で、扉が無情に閉まった。
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