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2回目の公爵令嬢は病弱設定のようです
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ゆっくりと、意識が浮上してくる。
重い目蓋を上げると、見慣れたベッドの天蓋が見えた。
「あ。レティシア!!」
聞き慣れた声に、視線を向けると、ベッドの脇に自分と同じ顔があった。
「ルティシア・・・」
「よかった。3日も目を覚まさなかったんだよ。お母様たち、呼んでくる!」
バタバタと部屋を出て行くルティシアを見ながら、私は体を起こそうとするけれど、重いその身体は動いてくれない。
「レティシア!!ああっ!目が覚めたのね。よかった!」
部屋に飛び込んできたお母様が、私をギュッと抱きしめてくれる。
後ろから伸びてきたお父様の手が、私の髪をそっと撫でてくれる。
ああ。『私』は、またお父様とお母様の子供になれたんだ。
「喉が渇いただろう。手を貸してやるから、少し身体を起こせ」
お父様が、私の背を支えてくれている間に、お母様が背中の後ろにクッションを差し込んでくれる。
ルティシアが、水差しから、コップに水を入れて、私へと差し出し、そのまま、手を支えてくれる。
え・・・っと、なんだか、みんながものすごく甘々なんですけど。
え?私、そんなに、病弱なの?
ルティシアも、私のこと名前で呼んでるし。
対等っていうか、私が守られてる存在なの?
今、いくつくらいなのかな・・・
1回目の記憶は、持ったまま戻れたみたいだけど、レインハルト王子や、シオン様は無事かしら・・・
「熱は下がったみたいだね」
私のおでこに、自分のおでこをコツリと合わせたルティシアが、にっこりと微笑う。
なんだか、双子の妹が、イケメン化してるんだけど!えっと、えーっ、1回目とキャラ違いすぎなんだけど!
そんなことを考えていた私は、ルティシアの続けた言葉に、ピシリと固まった。
「王子が、お城になんか呼ぶから、レティシアの体調が悪くなったんだよ」
「ルティシア、さすがに、それは不敬よ」
お母様が、やんわりと嗜める。苦笑いだ。お父様は・・・ああ、安定の鉄面皮ですね。
王子・・・
この場合だと、レインハルト様かな?
「王子・・・」
「レティシアが目覚めたこと、連絡せねばな」
お父様が思い出したように、呟く。いや、全然、思い出したようじゃないですけどね。表情筋、全然働いてないですけどね。
「お城で・・・倒れた?」
突如、巻き戻された人生に、その、戻る前までの記憶がない。
病弱設定といい、1回目と同じとはいかなそうだ。
少しずつ、情報を擦りあわしていかないと。
「えー、覚えてないの?」
「ルティシア、レティシアは目が覚めたばかりなのよ。混乱していても仕方ないでしょう?」
お母様、ごめんなさい。混乱もしてるし、目覚めたばっかりでもあるけど、思い出せないんで。
ここは、ルティシアに聞かないと。
「ルティシア、少しお話ししない?」
「うん、いいよ」
「だめよ、レティシア。あなたは身体が弱いのだから」
ルティシアの肯定と、お母様の否定が重なる。
うーん、本気で病弱設定なのか。どうしよう?
助けを求めるように、お父様を見ると、やれやれと言いたげな顔で、ため息をつく。
「ルティシアが一緒にいるのなら構わないだろう。レティシアも、もう10歳だ。過保護も大概にしておけ」
「わかりました。でも、レティシア、無理はだめよ」
お母様は、私に念を押してから、お父様と部屋を出て行った。
その後ろ姿を、私はぼんやりと見送った。
そうか、10歳か。
ルティシアに、ベッドに腰掛けるように勧める。
ルティシアは、私の足のあたりに腰掛けると、足をぶらぶらしながら、ニコニコしている。
ほんと、1回目と違うな。
1回目のシスコンも可愛かったけど、今回のルティシアは、天真爛漫な感じだ。これはこれで、可愛い。
「それで、王子様って?」
「本当に、忘れちゃったんだ?あのね、王子様2人に呼ばれたんだよ。薔薇が綺麗に咲いたから、見にきませんかって。私は、薔薇なんかどうでもよかったけど、レティシアが見たそうだったから、行ったんだよ」
「2人・・・」
「うん。名前は、聞く前に、2人を見た途端、レティシアが倒れちゃって。金髪の王子と、黒髪の、私たちよりちょっとお兄さんの王子だったよ」
シオン様と、レインハルト様だ。
え?でもなんで、2人が私とルティシアをお城に呼ぶの?
倒れたのは、多分、2人を見たときに、記憶が戻ったんだと思うけど。
一体、何がどうなってるんだろう。
重い目蓋を上げると、見慣れたベッドの天蓋が見えた。
「あ。レティシア!!」
聞き慣れた声に、視線を向けると、ベッドの脇に自分と同じ顔があった。
「ルティシア・・・」
「よかった。3日も目を覚まさなかったんだよ。お母様たち、呼んでくる!」
バタバタと部屋を出て行くルティシアを見ながら、私は体を起こそうとするけれど、重いその身体は動いてくれない。
「レティシア!!ああっ!目が覚めたのね。よかった!」
部屋に飛び込んできたお母様が、私をギュッと抱きしめてくれる。
後ろから伸びてきたお父様の手が、私の髪をそっと撫でてくれる。
ああ。『私』は、またお父様とお母様の子供になれたんだ。
「喉が渇いただろう。手を貸してやるから、少し身体を起こせ」
お父様が、私の背を支えてくれている間に、お母様が背中の後ろにクッションを差し込んでくれる。
ルティシアが、水差しから、コップに水を入れて、私へと差し出し、そのまま、手を支えてくれる。
え・・・っと、なんだか、みんながものすごく甘々なんですけど。
え?私、そんなに、病弱なの?
ルティシアも、私のこと名前で呼んでるし。
対等っていうか、私が守られてる存在なの?
今、いくつくらいなのかな・・・
1回目の記憶は、持ったまま戻れたみたいだけど、レインハルト王子や、シオン様は無事かしら・・・
「熱は下がったみたいだね」
私のおでこに、自分のおでこをコツリと合わせたルティシアが、にっこりと微笑う。
なんだか、双子の妹が、イケメン化してるんだけど!えっと、えーっ、1回目とキャラ違いすぎなんだけど!
そんなことを考えていた私は、ルティシアの続けた言葉に、ピシリと固まった。
「王子が、お城になんか呼ぶから、レティシアの体調が悪くなったんだよ」
「ルティシア、さすがに、それは不敬よ」
お母様が、やんわりと嗜める。苦笑いだ。お父様は・・・ああ、安定の鉄面皮ですね。
王子・・・
この場合だと、レインハルト様かな?
「王子・・・」
「レティシアが目覚めたこと、連絡せねばな」
お父様が思い出したように、呟く。いや、全然、思い出したようじゃないですけどね。表情筋、全然働いてないですけどね。
「お城で・・・倒れた?」
突如、巻き戻された人生に、その、戻る前までの記憶がない。
病弱設定といい、1回目と同じとはいかなそうだ。
少しずつ、情報を擦りあわしていかないと。
「えー、覚えてないの?」
「ルティシア、レティシアは目が覚めたばかりなのよ。混乱していても仕方ないでしょう?」
お母様、ごめんなさい。混乱もしてるし、目覚めたばっかりでもあるけど、思い出せないんで。
ここは、ルティシアに聞かないと。
「ルティシア、少しお話ししない?」
「うん、いいよ」
「だめよ、レティシア。あなたは身体が弱いのだから」
ルティシアの肯定と、お母様の否定が重なる。
うーん、本気で病弱設定なのか。どうしよう?
助けを求めるように、お父様を見ると、やれやれと言いたげな顔で、ため息をつく。
「ルティシアが一緒にいるのなら構わないだろう。レティシアも、もう10歳だ。過保護も大概にしておけ」
「わかりました。でも、レティシア、無理はだめよ」
お母様は、私に念を押してから、お父様と部屋を出て行った。
その後ろ姿を、私はぼんやりと見送った。
そうか、10歳か。
ルティシアに、ベッドに腰掛けるように勧める。
ルティシアは、私の足のあたりに腰掛けると、足をぶらぶらしながら、ニコニコしている。
ほんと、1回目と違うな。
1回目のシスコンも可愛かったけど、今回のルティシアは、天真爛漫な感じだ。これはこれで、可愛い。
「それで、王子様って?」
「本当に、忘れちゃったんだ?あのね、王子様2人に呼ばれたんだよ。薔薇が綺麗に咲いたから、見にきませんかって。私は、薔薇なんかどうでもよかったけど、レティシアが見たそうだったから、行ったんだよ」
「2人・・・」
「うん。名前は、聞く前に、2人を見た途端、レティシアが倒れちゃって。金髪の王子と、黒髪の、私たちよりちょっとお兄さんの王子だったよ」
シオン様と、レインハルト様だ。
え?でもなんで、2人が私とルティシアをお城に呼ぶの?
倒れたのは、多分、2人を見たときに、記憶が戻ったんだと思うけど。
一体、何がどうなってるんだろう。
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