恋とはどんなものかしら

みおな

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守り抜くために(レインハルトside)

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 僕には、7歳年上の兄上がいる。

 この国の第1王子である兄上は、とても聡明な方だ。
 その兄上には、僕と同い年の婚約者がいる。

 レティシア・ルーベンス公爵令嬢。銀の髪と銀の瞳の、とても美しい少女だ。

 僕はー

 彼女のことが好きだった。

 どうにか、彼女を手に入れたくて、何度も父上に婚約をお願いしたけど、父上は首を縦に振ってはくれなかった。
 あとで知ったことだが、彼女はすでに兄上との婚姻を結んでいた。

 だけど、当時の僕は、兄上と彼女との距離感に嫉妬し、事もあろうに、兄上を助けるために魔力を使い切り、気を失っていた彼女を攫った。

 今考えるとー

 王子として、いや、人として何と愚かなことをしたのか。
 結果として、父上や兄上が僕を処刑することを決めたことは、当然のことだ。

 僕がいくら愚かであろうと、第2王子であることは事実だ。国外追放や平民落ちでは、災いの種を残すことになる。

 当時の僕は、すでに気狂いで、そんなことすら理解していなかったが。

 だけど、彼女は、レティシア嬢は、そんな僕を救ってくれた。

 正確に言うならば、処刑された僕を思って苦しむ、父上たちや兄上の心を救うために、兄上との別れを選んでまで『時魔法』を使ってくれた。

 僕は、どれだけ自分が、父上や兄上、そして彼女にも大切に思われていたのかを思い知った。

 だからー

 僕は、兄上と彼女を絶対に守る。そう、心に決めたのだ。

 その彼女が、目の前のソファーで眠っていた。

 寮に戻ろうとしていた僕は、兄上の従者であるキースに連れられ、理事長室を訪れていた。

 そこには、彼女の双子の妹ルティシア嬢、ルティシア嬢の婚約者で公爵令息のクロードがいた。

 そして、僕たちは、あのジュリア・チェルシーの非道なる行いを、キースから聞かされた。

 僕やクロードに、馴れ馴れしくしてくる男爵令嬢。
 可愛らしい容姿で、甘えたように接してくる彼女だが、僕はその瞳の中に、『魅了』の魔力があることを気づいていた。

 僕は、一応、王族である。
 前回あんな過ちを犯した僕は、表舞台に立つつもりはない。
 だけど、僕が第2王子である限り、僕を利用しようとする輩がいることも事実だ。

 だから、性格や記憶が弄られることのないように、王族は防御アイテムを身につけているのだ。

 そのおかげで、ジュリアの魅了の魔法は、僕には効かないのだが。

 僕は、ジュリアの魔法に気づいた時点で、兄上にも父上にも報告していた。
 どうやら彼女は、僕やクロードを魅了しようとしているみたいだったから、クロードにも防御アイテムを持たせるためだ。

 クロードは、レティシア嬢の幼なじみで、妹の婚約者だ。もし何かあれば、彼女が傷つく。

 「オーウェン兄弟とエンハルトは、おそらく魅了されているな」

 兄上の言葉に、僕はうなづく。

 ルティシア嬢へのあの物言いからして、間違いないだろう。

 兄上は、細い指を組みながら、ため息をつく。

 「エンハルトはともかく、宮廷魔術士の子息ともあろう者が、魅了の魔法にかかるとはー」

 ああ。オーウェン侯爵もかわいそうに。

 「それで、兄上。どう動かれるのですか」

 僕らが魅了の魔法にかかることはないし、国に影響を与えない限り、放置でもよかったけど、レティシア嬢に手を出したとなると、話は別だ。

 僕や兄上はもちろん、彼女の父親である『魔王』も、国王陛下である父上も、絶対許さない。

 あの女は、絶対に排除する。それは決定事項だ。
 だから、僕は、どうするのかとは聞かない。どう動くのかと聞いたのだ。

 
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