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10歳

61ページ:結末

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「戻ってきた時には、王太子殿下と一緒にいたので、てっきり誤解が解けたのだと思い込んでいたのです。それが、謁見の間に入った途端に、陛下たちを殿下が攻撃されて・・・」

 ブロワー伯爵の説明に、納得した。
アル兄様たちに渡してあるお守りは、攻撃から身を守ることはできるけど、洗脳系の魔法を防ぐ効力はない。

 ブラッド伯爵の件もあったのだから、私がもう少し配慮するべきだった。

 精霊たちが相手に力を貸さないからと、油断していた。

「ブロワー伯爵。残念ですけど、私を襲うという話は事実です。クラウディア王国のブラッド伯爵に依頼したということは、わかっています」

「そんな・・・」

 ブロワー伯爵と、伯爵子息はがくりと肩を落とした。

 そんな父と兄を、マモンは悲しげな顔で見ていた。

「ブロワー伯爵。王女であるシエルに害をなそうとしたこともだが、王太子であり、未来の国王となるアレクセイを操るなど、絶対にあってはならないことだ。分かっているな?」

「・・・陛下」

「残念だよ、ブロワー伯爵。マモンは、こんなに立派になって、頑張っているというのに。マズルはマモンのような扱いは出来ない」

 お父様の言葉に、私も何も言うことが出来ない。
 マズルのしたことは、絶対に許されないことだ。おそらく、ブロワー伯爵家は降爵か褫爵されるだろう。

『マスター。お待たせしました。隔離が終了しました』

 ノワールの声に振り返ると、セイクレッドにお姫様抱っこされているアル兄様の姿があった。

 なんだろう。
いたたまれない。

 セイクレッドは女性体だけど精霊だから、アル兄様を抱き上げることができるのは分かる。

 わかるけど、女性にお姫様抱っこされる成人男性。

 どうしよう。ものすごくいたたまれない。アル兄様も死んだ魚のような目をしているし。

 降ろしてあげて。
アル兄様の精神が米粒以下になる前に、降ろしてあげて。

「えーと、セイクレッド。おろしてあげて」

『はい、マスター』

 素直にセイクレッドは、アル兄様を下ろしてくれた。

 セイクレッドに、男だからとかいう区別はないんだろうと思う。精霊だし。
 でも、まさか女性体に、お姫様抱っこされる王太子を見る日が来るとは思わなかったわ。

「それで、ノワール。マズルの方は・・・」

『拘束しております。マスター、あの者が我らがマスターを害しようとした者ですね?いかがいたしましょうか?どのような苦痛を与えましょうか?』

「えーと、うん。それはお父様に任せるよ。目に見える形で、処罰を与える必要があると思う」

『人とは面倒なものですね・・・我らなら一瞬で、その身を塵にすることも、精神を破壊することもできるというのに』

 まぁ、精霊王だからね。
それは実際可能なんだろうけど。字面にしたらエグいからやめてね。

 




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