はっきり言ってカケラも興味はございません

第二十四話

　一週間後。
我が家にダイアナ・カタロニア公爵令嬢様がいらっしゃいました。

「本当に、馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたけど、本気で馬鹿ですわ」

　ミリアの淹れた紅茶を、綺麗な所作で飲みながら出た言葉は・・・なんというか苦笑してしまいます。

「もう！笑い事ではありませんのよ」

「申し訳ございません。でも、呆れを通り越して、予想通りだったと思ってしまいまして」

「確かに予想通りですけれど。それに、予定通りなのでしょう？」

「ふふっ。そうですわね。これでまた一歩、婚約解消がしやすくなりましたわ」

　ダイアナ様は、学園で広がっている噂について、お知らせに来て下さったのです。

『イーサン・ブレンディ侯爵令息の婚約者であるエリザベス・カリスタ伯爵令嬢が、ダイアナ・カタロニア公爵令嬢の手下となって、ドロシー王女殿下を陰で虐めている。王女殿下を貶める発言をしている』

　いくら実家が資産家でも、身分としては伯爵令嬢の私が王女殿下をいじめる？

　しかもダイアナ様の手下となって？

　馬鹿も休み休みにして欲しいですわ。

　気高い公爵令嬢であるダイアナ様が、誰かを使って人を虐めるような真似をするわけがありません。

　もし、本当にドロシー王女殿下に文句があるのなら、ダイアナ様ならご自身でおっしゃると思いますわ。

　そしてその噂を流しているのが、イーサン・ブレンディ侯爵令息様。

　まぁ彼は、ドロシー王女殿下がおっしゃったことを本当と思い込んで発言しているのですけど。

　本当に、呆れるというか、情けないというか。

　いえ。
こうなることが予想できたので、スキップ制度を利用したのですけど。

　学園にいないのにそのような嘘を本当のことのように流されれば、名誉毀損で訴えることができますもの。

　しかしダイアナ様のおっしゃる通り、馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたけど、本当に馬鹿なのですね。

　私が学園にいるかどうかも確認せずに、そのような噂を流すなんて。

　もちろんクラスメイトの特Ａクラスの皆様は、そんな噂は信じるところか嘘だと理解ってくださっています。

　まぁ私、あの日以降まだ通っておりませんから。

　そろそろ登校しようとは思っていますけど。

　王弟殿下・・・学園長は今は静観していただいております。

　早く片付けることができれば、一年だけでも学園に通えるかもしれませんもの。

　ドロシー王女殿下のおかげで、婚約解消の証拠集めも順調ですし、第一王子殿下にもご協力いただけることになりましたから、彼らの愚行を増長させたいのです。

　ご自分たちの行いの責任は、ご自身で取っていただきますわ。