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第39.5話〜ブレンディ侯爵次男ジェレミー視点〜
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カリスタ伯爵家。
クレメンタイン王国筆頭の、商会を運営している貴族家だ。
王都にあるあの店もこの店も、全てがカリスタ伯爵家が関わっている店ばかりで、もしもカリスタ伯爵家がそっぽを向けばクレメンタイン王国は立ち行かなくなるだろう。
そんなこと僕でさえ分かるというのに、どうして兄上には分からないのだろう。
兄上は僕の五歳年上で、十三歳の年にカリスタ伯爵家のご令嬢と婚約した。
その婚約は、ブレンディ侯爵家が融資を受けるために結んだものなのに、兄は嫡男として侯爵家を継ぐ座を失ったと、不満に思っているらしい。
意味が分からない。
確かにカリスタ伯爵家を継ぐのは夫となる兄ではなくご令嬢だが、それでもあのカリスタ伯爵家と縁付きになれるというのに。
叶うことなら、僕が婚約者になりたかったくらいだ。
融資をしてもらわなければ立ち行かない侯爵家と、多くの商会を持つ伯爵家。
どちらに価値があるかなんて、子供でも分かることなのに。
それに、カリスタ伯爵令嬢はとても愛らしいし、成績も優秀と聞く。
それに比べて、兄上も、それから兄上がお仕えしている王女殿下も、成績は底辺も底辺だ。
そんな兄上が、カリスタ伯爵令嬢を侮辱した。
渋る両親を無理矢理、謝罪に向かわせる。
我が親ながら、なんて呑気なんだ。
融資を止められたら、我が家は立ち行かなくなるのに!
しかも、謝罪をしなければならない当人の兄上がいない。
愚かな両親に任せておけず、翌日ひとりでカリスタ伯爵家に謝罪に向かった。
そこでカリスタ伯爵夫人から、予想もしていなかった提案を受けた。
「僕でいいんでしょうか」
「ええ。あなたのご両親は拒むでしょうけどね。融資の代償として話をするつもりよ。でも、あなたがご両親と離れたくないと思っていたり、侯爵家を継ぐために頑張ろうと思っているのなら、無理強いはしないわ。あくまでも我が家の都合なのよ」
夫人は、決定権を僕に委ねてくれた。
確かに、領民のことは心配だ。
あの両親に任せていたらと不安だったが、そのことは親戚筋に任せるから大丈夫だと言われた。
父上には兄弟がいないが、亡くなったお祖父様の兄弟がいる。
そうか・・・
きっと、もうブレンディ侯爵家に未来はないんだな。
伯爵家ではあるけれど、夫人もご令嬢も僕の両親よりもずっと多くのものを見通している気がする。
両親や兄に、家族としての愛情がないわけじゃないけれど。
僕だけ救われても良いんだろうか。
差し出されたその手を取っても、許されるのだろうか。
クレメンタイン王国筆頭の、商会を運営している貴族家だ。
王都にあるあの店もこの店も、全てがカリスタ伯爵家が関わっている店ばかりで、もしもカリスタ伯爵家がそっぽを向けばクレメンタイン王国は立ち行かなくなるだろう。
そんなこと僕でさえ分かるというのに、どうして兄上には分からないのだろう。
兄上は僕の五歳年上で、十三歳の年にカリスタ伯爵家のご令嬢と婚約した。
その婚約は、ブレンディ侯爵家が融資を受けるために結んだものなのに、兄は嫡男として侯爵家を継ぐ座を失ったと、不満に思っているらしい。
意味が分からない。
確かにカリスタ伯爵家を継ぐのは夫となる兄ではなくご令嬢だが、それでもあのカリスタ伯爵家と縁付きになれるというのに。
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どちらに価値があるかなんて、子供でも分かることなのに。
それに、カリスタ伯爵令嬢はとても愛らしいし、成績も優秀と聞く。
それに比べて、兄上も、それから兄上がお仕えしている王女殿下も、成績は底辺も底辺だ。
そんな兄上が、カリスタ伯爵令嬢を侮辱した。
渋る両親を無理矢理、謝罪に向かわせる。
我が親ながら、なんて呑気なんだ。
融資を止められたら、我が家は立ち行かなくなるのに!
しかも、謝罪をしなければならない当人の兄上がいない。
愚かな両親に任せておけず、翌日ひとりでカリスタ伯爵家に謝罪に向かった。
そこでカリスタ伯爵夫人から、予想もしていなかった提案を受けた。
「僕でいいんでしょうか」
「ええ。あなたのご両親は拒むでしょうけどね。融資の代償として話をするつもりよ。でも、あなたがご両親と離れたくないと思っていたり、侯爵家を継ぐために頑張ろうと思っているのなら、無理強いはしないわ。あくまでも我が家の都合なのよ」
夫人は、決定権を僕に委ねてくれた。
確かに、領民のことは心配だ。
あの両親に任せていたらと不安だったが、そのことは親戚筋に任せるから大丈夫だと言われた。
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きっと、もうブレンディ侯爵家に未来はないんだな。
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差し出されたその手を取っても、許されるのだろうか。
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