107 / 126
第八十四話
しおりを挟む
「「か、か、か、可愛い~!」」
アレスとセレネを前に、何度会っても可愛いとメロメロになって下さるのは、お義母様である王妃殿下とお義父様である国王陛下。
お忙しいはずなのに、毎日必ずアレスとセレネに会いに来てくださるの。
アレスとセレネはようやく首も座り、最近は「あー」や「うー」と言いながら手を振り回しています。
さすがに双子なので、私ひとりでお乳をあげて育てるのは難しく、乳母の方の力を借りています。
そろそろ王太子妃の公務もしなくてはいけません。
アルバート様は一年くらい大丈夫だとおっしゃいますが、いくらなんでもそこまでは甘えられません。
もちろん、できる限り母親として育てたいと思っていますが、私はクシュリナ王国の王太子妃です。
その務めをきちんと果たさなくては、アレスやセレネに胸を張って顔を見せられませんわ。
両親とジェレミーも会いに来てくれました。
ジェレミーが、アレスとセレネにメロメロだったのには驚きました。
どうやら自分より年下・・・赤ちゃんと触れ合う機会がなかったようで、双子が可愛くて仕方なかったようです。
そんなジェレミーを、お父様とお母様が愛おしそうに見つめています。
ふふっ。
良かったですわ。
お父様とお母様のことは信じていますけど、こうして息子として愛しんでいる姿を見れて、心から安堵しました。
娘の私が他国に嫁ぎ、簡単には実家に帰ることは叶わない立場です。
お父様やお母様のことを、家族として愛し愛されてくれるジェレミーがいて、本当に良かったと思います。
「あらあら、どうしたの?何か欲しいの?ほーら、昨日届いたバルトフェルド帝国で流行しているオモチャよ~」
ええ。
皆様、アレスとセレネを可愛がってくださるのは、本当に嬉しいのです。
お父様やお母様は、頻繁にクシュリナ王国の王宮に訪れることは叶いません。
ですから、国王陛下と王妃殿下が双子を可愛がってくれるのは嬉しいのです。
でもですね?
大量のオモチャや洋服を購入されるのは、ちょっと問題です。
もう、隣の子供部屋はオモチャと洋服でいっぱいなのです。
うちのお父様やお母様からも送られて来ています。
ええ。他国の、カリスタ商会のあるすべての国の物が。
それに各国の王族の方からも。
いい加減にしていただかないと、使う前に二人が成長してしまいますわ。
「母上っ、おもちゃはもう買わないでくださいとあれほどお願いしたではありませんか」
「だって、アルバート。アレスとセレネが笑ってくれるのよ?そんなの買うしかないじゃない」
アルバート様の叱責にも、王妃殿下はどこ吹く風。
仕方ありませんわ。
王族から贈られたものは臣下に。カリスタ商会で買ったものは、孤児院にでも寄付しましょう。
アレスとセレネを前に、何度会っても可愛いとメロメロになって下さるのは、お義母様である王妃殿下とお義父様である国王陛下。
お忙しいはずなのに、毎日必ずアレスとセレネに会いに来てくださるの。
アレスとセレネはようやく首も座り、最近は「あー」や「うー」と言いながら手を振り回しています。
さすがに双子なので、私ひとりでお乳をあげて育てるのは難しく、乳母の方の力を借りています。
そろそろ王太子妃の公務もしなくてはいけません。
アルバート様は一年くらい大丈夫だとおっしゃいますが、いくらなんでもそこまでは甘えられません。
もちろん、できる限り母親として育てたいと思っていますが、私はクシュリナ王国の王太子妃です。
その務めをきちんと果たさなくては、アレスやセレネに胸を張って顔を見せられませんわ。
両親とジェレミーも会いに来てくれました。
ジェレミーが、アレスとセレネにメロメロだったのには驚きました。
どうやら自分より年下・・・赤ちゃんと触れ合う機会がなかったようで、双子が可愛くて仕方なかったようです。
そんなジェレミーを、お父様とお母様が愛おしそうに見つめています。
ふふっ。
良かったですわ。
お父様とお母様のことは信じていますけど、こうして息子として愛しんでいる姿を見れて、心から安堵しました。
娘の私が他国に嫁ぎ、簡単には実家に帰ることは叶わない立場です。
お父様やお母様のことを、家族として愛し愛されてくれるジェレミーがいて、本当に良かったと思います。
「あらあら、どうしたの?何か欲しいの?ほーら、昨日届いたバルトフェルド帝国で流行しているオモチャよ~」
ええ。
皆様、アレスとセレネを可愛がってくださるのは、本当に嬉しいのです。
お父様やお母様は、頻繁にクシュリナ王国の王宮に訪れることは叶いません。
ですから、国王陛下と王妃殿下が双子を可愛がってくれるのは嬉しいのです。
でもですね?
大量のオモチャや洋服を購入されるのは、ちょっと問題です。
もう、隣の子供部屋はオモチャと洋服でいっぱいなのです。
うちのお父様やお母様からも送られて来ています。
ええ。他国の、カリスタ商会のあるすべての国の物が。
それに各国の王族の方からも。
いい加減にしていただかないと、使う前に二人が成長してしまいますわ。
「母上っ、おもちゃはもう買わないでくださいとあれほどお願いしたではありませんか」
「だって、アルバート。アレスとセレネが笑ってくれるのよ?そんなの買うしかないじゃない」
アルバート様の叱責にも、王妃殿下はどこ吹く風。
仕方ありませんわ。
王族から贈られたものは臣下に。カリスタ商会で買ったものは、孤児院にでも寄付しましょう。
2,010
あなたにおすすめの小説
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】伯爵令嬢の責務
ごろごろみかん。
恋愛
見てしまった。聞いてしまった。
婚約者が、王女に愛を囁くところを。
だけど、彼は私との婚約を解消するつもりは無いみたい。
貴族の責務だから政略結婚に甘んじるのですって。
それなら、私は私で貴族令嬢としての責務を果たすまで。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい
神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。
嘘でしょう。
その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。
そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。
「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」
もう誰かが護ってくれるなんて思わない。
ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。
だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。
「ぜひ辺境へ来て欲しい」
※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m
総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ ありがとうございます<(_ _)>
さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる