はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな

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第八十七話

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 アレスとセレネ。

 クシュリナ王国の第一王子と第一王女の二人の誕生は、クシュリナ王国のほとんどの貴族に好意的に受け入れてもらえたようです。

 他国の、しかも伯爵令嬢ということで、一部の貴族から見下されていた私ですが、婚姻して早々に後継を産んだことで、私を排除しようとする声は小さくなったように感じます。

 周囲国とも、良好な関係を築けていますし、国内も今のところ大きな問題は起きていません。

 そんな中、アルバート様と私、そしてアレスとセレネは王家の離宮に避暑に向かうことになりました。

 クシュリナ王国の王都は南に位置していますので、冬は暖かくていいのですが、夏は暑いのです。

 なので、王族も真夏の時期は王都から北にある離宮に避暑に向かうそうです。

 去年は私が妊娠していましたので、陛下と王妃殿下が離宮に向かわれ、アルバート様は王都に残られました。

 離宮は、王都から馬車で三日ほどのところにあります。

 さすがに、王族全員が王都を留守にするわけには行きませんから、私たちが戻った後に陛下たちが向かわれることになっています。

 双子にとって、初めての馬車での旅になりますから不安でしたが、どうやら二人ともご機嫌なようです。

「あー、とーとー」

「ととー、ととー」

 馬車の窓から、外を見てキャッキャッと喜んでいます。

 空に手を伸ばしていますから、鳥でもいたのでしょうか。

 離宮へは、アルバート様に私、アレスとセレネ。

 二人の専属侍女のマイラとネーベ。セインとセイラ。私の侍女のミリアとアルバート様の侍従のゼノ。そして、護衛騎士たちが同行します。

 本来なら三日の距離を、アレスとセレネのことを考慮して五日かけて進みました。

「涼しくて気持ちいいわね?アレス、セレネ」

「「・・・みゅー」」

「あらあら、ずっとはしゃいでいたから、お眠になってしまったのかしら」

 二人は、マイラとネーベに抱かれたまま、ユラユラと船を漕いでいます。

 馬車の中ではご機嫌でしたし、途中の宿でも夜泣きすることもなかったのですけど、やっぱり環境が違うので熟睡できていなかったのかしら。

「若君と姫様はお部屋にお連れします」

「ええ、お願い。湯浴みをさせてね。後でセイラとセインに行ってもらうから、そうしたら二人も湯浴みしてちょうだい」

 頷いたマイラとネーベ、そして護衛騎士は、二人と共に私たちの右隣の部屋へと消えて行きます。

 セインとセイラは、私たちの向かいの部屋になります。

 私もアルバート様も、ゼノとミリアと共にそれぞれの部屋へと向かいました。

 今日から半月。
離宮暮らしですわ。

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