転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな

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モブ、敵対する。

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 シキが有能なのはとりあえず置いとくとして、どうして私はエドワードに睨まれなきゃならないのかな。

 確かにカレリアを濡れたまま帰したけど、私は風属性じゃないし、もし風属性だとしてもまだ魔法の使い方がわからない。

 ホースの留め具が壊れていたのは、私のせいじゃないし、単に老朽化だと思う。

 そんなに濡れたまま帰したのが気に入らないなら、予備の制服でもエドワードが買って、コモンズ侯爵家の侍女にでも持たせておけばいいのに。

「まだ、何か?」

 暗に、さっさと教室に行けと言ってやる。

 私は別にエドワードに嫌われても構わない。むしろ、関わって欲しくないくらいだ。

 カレリアは可憐で可愛いから、仲良くできたらなとは思うけど、エドワードに嫌味を言われてまで仲良くしたいかと聞かれたら、ちょっと考えるところである。

 カレリアやイレーヌのことは好きだけど、ヴェルハルトやエドワードと天秤にかけると、どうしても関わりたくない気持ちが大きい。

「王太子殿下を袖にしたと聞いた。ふん。見た目と違い、随分と強かなようだな。まさか、うちの可愛いカレリアを濡らしたのも故意ではないだろうな」

 どうやらエドワードは、ヴェルハルトと違い私には、好意ではなく敵意を持っているようだ。

 私はモブなので、好意も敵意も持たれたくないし、できることならほっといて欲しいというのが本心だ。

「ハァ」

「なんだ、その態度は!」

「アホらしくてため息が出たのです。それならホースの留め具を先生に見せてもらったらいかがですか?それに、私がカレリア様に害をなさなければならないのです?あんなに可憐で可愛らしいご令嬢をいじめるほど、私は腐っていないつもりですが?」

「くっ!カレリアが可憐で可愛いのは同意するが、そ、そうだ!カレリアがあまりに可愛いから嫉妬したのだろう?」

 馬鹿なのかな。
私の作ったエドワードは、大人で紳士で、尊敬できる人間だったんだけど。

 カレリアのことを好きなのはいいことだけど、そのことで他人に絡まないで欲しい。

 なんだか、ヴェルハルトとはちがう意味で、イラッとしてきたわ。

「キンバレー様。公爵令息とは思えないお言葉ですこと。キンバレー様がそうおっしゃるのでしたら、私はカレリア様と親しくさせていただくのをやめなければなりませんね。残念ですが、婚約者の方にそんなことを言われてまで、お付き合い出来ませんもの。どうぞ、カレリア様にそうお伝え下さいませ」

 私はカーテシーをすると、さっさと教室に向かった。
 教室に入る際にチラリと振り返ると、エドワードはその場に立ち尽くしたままだった。



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