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見せたいものと見たいもの
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「それでロゼとレイに見せたいものとはなんだ?」
パパがサウロン様の後をついて行きながら尋ねる。
「それは見てのお楽しみかな。大丈夫!変なものじゃないから」
「当たり前だ。ロゼの気分を害するようなものだったら、魔王城の立ち入りを禁止するぞ」
「え?それは困る~!でも大丈夫!絶対、喜んでもらえるし」
サウロン様は自信たっぷりだけど、大丈夫かしら?
魔王城の立ち入りが禁止されて困るのって、レイに会えなくなるから、よね?
多分、それ以外はどうでもよさそうだし。
鼻歌混じりで進むサウロン様に、微妙な不安を感じる。
それでも、パパとレイと一緒にサウロン様の後に続く。
「着いたよぉ」
しばらく歩いた先にあったのは、澄み渡った湖だった。
底まで見えそうなほど澄んでいて、湖中にある花がはっきり見えるのに、どこか深い青色をしていて底が見えない。
どこか神秘的で、どこか不安を感じさせる湖。
「サウロン様、ここは?」
「この湖はね、その人が見たいと願ったものを一度だけ見せてくれる湖なんだ。未来の自分とかみたいに曖昧なものは無理だけど、実際起きたこと、実際いた人とかは見れるよ」
見たいと願ったもの・・・
私が見たいと願うもの・・・
私には、どうしても見たいものが二つある。
ひとつは、ローズリッテの母親。
ローズリッテが幼い頃に病死したお母様だけど、お優しい方だった。
もうひとつは、ロゼ・リヴァルスの母親。
私はロゼのお母様を知らない。
だから会ってみたい。でも、ひとつしか願いは叶えられないのよね。
悩んでいる様子の私に、サウロン様がレイに話しかけた。
「レイちゃんは?見たいものはある?」
「・・・そうですね。私の願いをロゼ様にお譲りすることはできますか?」
「あー、気持ちは分かるけど無理。僕がどうこうしてるんなら手を貸してあげるけど、これはあくまでも湖が判断するんだ」
「なら、私がロゼ様のお母様を見たいと願えば?」
レイの言葉に、私はレイの腕を引いて首を振るけど、レイはにっこりと微笑むだけ。
「うん、それも無理。レイちゃんはロゼ様の母親を知らないよね。知らないものは見れないんだ」
「なら、俺がロゼの母親、ダリアを見たいと願えば、ロゼも見ることが出来るのか?」
パパの問いに、私は顔を上げた。
ママの名前、ダリアって言うんだ・・・
パパはママが殺されたこと、ずっと悔やんでいたみたいだから、聞いたことなかった。
「あー、それなら見れるかも。王様の記憶の中の王妃様の姿を見れるんじゃないかな」
パパがサウロン様の後をついて行きながら尋ねる。
「それは見てのお楽しみかな。大丈夫!変なものじゃないから」
「当たり前だ。ロゼの気分を害するようなものだったら、魔王城の立ち入りを禁止するぞ」
「え?それは困る~!でも大丈夫!絶対、喜んでもらえるし」
サウロン様は自信たっぷりだけど、大丈夫かしら?
魔王城の立ち入りが禁止されて困るのって、レイに会えなくなるから、よね?
多分、それ以外はどうでもよさそうだし。
鼻歌混じりで進むサウロン様に、微妙な不安を感じる。
それでも、パパとレイと一緒にサウロン様の後に続く。
「着いたよぉ」
しばらく歩いた先にあったのは、澄み渡った湖だった。
底まで見えそうなほど澄んでいて、湖中にある花がはっきり見えるのに、どこか深い青色をしていて底が見えない。
どこか神秘的で、どこか不安を感じさせる湖。
「サウロン様、ここは?」
「この湖はね、その人が見たいと願ったものを一度だけ見せてくれる湖なんだ。未来の自分とかみたいに曖昧なものは無理だけど、実際起きたこと、実際いた人とかは見れるよ」
見たいと願ったもの・・・
私が見たいと願うもの・・・
私には、どうしても見たいものが二つある。
ひとつは、ローズリッテの母親。
ローズリッテが幼い頃に病死したお母様だけど、お優しい方だった。
もうひとつは、ロゼ・リヴァルスの母親。
私はロゼのお母様を知らない。
だから会ってみたい。でも、ひとつしか願いは叶えられないのよね。
悩んでいる様子の私に、サウロン様がレイに話しかけた。
「レイちゃんは?見たいものはある?」
「・・・そうですね。私の願いをロゼ様にお譲りすることはできますか?」
「あー、気持ちは分かるけど無理。僕がどうこうしてるんなら手を貸してあげるけど、これはあくまでも湖が判断するんだ」
「なら、私がロゼ様のお母様を見たいと願えば?」
レイの言葉に、私はレイの腕を引いて首を振るけど、レイはにっこりと微笑むだけ。
「うん、それも無理。レイちゃんはロゼ様の母親を知らないよね。知らないものは見れないんだ」
「なら、俺がロゼの母親、ダリアを見たいと願えば、ロゼも見ることが出来るのか?」
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