冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します

みおな

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もっと苦しめれば良かった

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「お母様っ」

 湖にローズリッテのお母様を見たいと願う。

 私はロゼだから、見れるか不安だったけど、湖面にはローズリッテのお母様の姿があった。

 でも、その姿は・・・

 湖は、なんでも見せてくれるわけじゃない。

 私の知らないお母様は見れない。だから、湖面に映るのはベッドに横たわるお母様。

 でも、その周囲は見える。

 ベッドで眠るお母様を見つめるお父様の表情が・・・

 まるで憎い仇でも見るような、あまりにも酷いものだった。

 その手をお母様の首にかけ、力を入れようとして・・・

 ベビーベッドの私の泣き声に、手が離される。

 すぐに乳母がやって来て、お父様がいることに驚いた様子だった。

 お父様はズカズカと足音を立てそうな勢いで、乳母を押しのけて部屋を出て行く。

「なに・・・あれ」

「ロゼ。見るのをやめるか?」

「いやっ!なにあれ、なにあれ!あの男はッ!お母様を殺そうとしたの?」

 震える手をパパが握りしめてくれる。
体が震えて止まらない。

 乳母がローズリッテを抱き上げあやしながら、お母様の様子を伺う。

「お母様のお身体に障りますから、泣き止みましょうね。お散歩しましょうか」

 上手にあやしながら、乳母は部屋を出て行く。

 ローズリッテと乳母が出て行くと、お母様の瞳から涙がこぼれた。

 ポロポロと涙を流しながら、うっすらと瞼をあげる。

「ローズリッテ・・・あの人に必要だったのは、王子に嫁ぐためのコマだったのね・・・ローズリッテ、私の可愛い娘・・・ごめんなさい、貴女を助けてあげられない母を許して・・・」

 お母様は少し咳き込むと、そのまま再び瞼を閉じてしまった。

「お母様っ?」

「落ち着け、ロゼ。あの男、簡単に殺すのではなかったな」

 ローズリッテの父親は、アークライン王国国王から奴隷落ちの上で国外追放にされたのよね?

「パパ」

「あの男とその妻は奴隷落ちになったが、炭鉱で働きながら生きていた。だから、男を生き埋めにして殺したのだ。ロゼ・・・ローズリッテを苦しめたあの人間を許せなかった」

「そう・・・もう死んでるんだ。生きてたら、私が殺してやりたかったな」

 私は、お母様は病気で亡くなったと聞かされていた。

 私を産んだ後、寝込みがちになってそのまま儚くなられたって。

 だから私を産んだせいなのかなって、ずっと心の中にあの父への申し訳なさがあった。

 でも、今見た光景は、お母様の流した涙は、呟いた言葉は、それが間違いだったって言ってる。

 お母様は。
ローズリッテのお母様は、あの男によって殺されたんだ。
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